武蔵野東中学校の中学受験——小金井市の混合教育校を確かめる
説明会の受付で、校名と所在地の食い違いに気づく
武蔵野東中学校の説明会に行くと、受付の列で「武蔵野市じゃないんですね」と小さく言う保護者がいます。わが子の通う小学校の友達が「武蔵野東」と略して呼ぶので、武蔵野市の学校だと思い込んでいた、という場面です。よくあるのは、この一言が出たあとに、家族の誰も所在地を確かめていなかったとわかる流れです。
学校の所在地は東京都小金井市緑町2-6-4です(学校の公式サイトより)。武蔵野市ではありません。学園としては武蔵野市にもキャンパスを持っていますが、中学校の所在地は小金井市側です。武蔵境から通う家庭にとっては、この時点で通学路の想像が一度やり直しになります。名前の印象と地図の位置を切り離してから、学校の中身を読むのが順番として安全です。
学校の基本情報を facts の範囲で押さえる
武蔵野東中学校は私立の共学校で、学校法人武蔵野東学園が運営しています。所在地は前述のとおり小金井市緑町です。最寄り駅や所要時間の細かい数字は、学校の公表資料と実際の通学で確かめるのが確実です。ここでは、記事の前提になる事実だけを並べます。
- 私立の共学校(学校法人武蔵野東学園)
- 所在地は東京都小金井市緑町2-6-4
- 高校を持たない中学校。卒業後は高校受験をする
- 学園内に武蔵野東高等専修学校はあるが、高等学校ではない
- 自閉症の子どもと定型発達の子どもがともに学ぶ「混合教育」で知られる(学園の公表する教育方針)
このうち、進路の分かれ目として特に大事なのが「高校を持たない」という点です。附属の高校にそのまま上がる形ではないので、中学の3年間は高校受験に向けた準備期間でもあります。高等専修学校があることと、高等学校があることは別のことです。ここを混同したまま志望校を考えると、6年後の進路の絵がずれます。
高等専修学校と高等学校は、どこが違うのか
この二つを同じものだと思っている家庭が少なくありません。名前が似ていて、どちらも学園の中にあるからです。しかし進路の選択肢としては別物です。高等学校は高校受験の先にある進学先の一つですが、高等専修学校はそうではありません。武蔵野東中学校を出たあとに通える高校は、学園の外も含めて自分で選び、受験して決めることになります。
だから志望校を考えるときの質問は「附属に上がれるか」ではなく「3年後にどんな高校を選びたいか」になります。この質問に今すぐ答えが出なくても構いません。答えが出ないこと自体が、中学3年間で考えるべき課題だという意味です。入学前にこの質問を家族で一度口に出しておくと、中1のうちから高校の文化祭や説明会に足を運ぶ習慣がつきます。
共学校であることを、どう受け取るか
私立の共学校という点も、家庭によって受け取り方が分かれます。男子校・女子校を希望していた家庭にとっては条件から外れますし、共学校を探していた家庭にとっては候補に入ります。ここで大事なのは、共学校という一言で学校の中身を想像しきらないことです。クラスの構成や行事の進め方は学校ごとに違い、それは公表資料を読むだけでは見えません。説明会で在校生の話を聞く、授業見学の機会があれば参加する、といった確かめ方が残ります。
混合教育という方針を、願書の前にどう読むか
武蔵野東学園は、自閉症の子どもと定型発達の子どもがともに学ぶ「混合教育」で知られています。これは学園が公表している教育方針です。制度の細部——クラスの編成や支援の入り方、教科ごとの関わり方——は、この記事が依拠する資料には書かれていません。だから細かい仕組みを断定して書くことはしません。
家庭がやるべきことは、方針の名前を覚えることではなく、自分の子がその場でどう過ごすかを想像することです。混合教育という言葉を聞いて、ある家庭は「多様な子と関われる」と受け取り、別の家庭は「うちの子は落ち着いて勉強できるのか」と受け取ります。どちらの受け取りも、説明会で質問しないと答えが出ません。願書を書く前に、授業中の様子と休み時間の様子を別々に聞く。この二つは同じ答えになりません。
質問を一つに絞ると、答えが具体的になる
説明会では質問の時間が限られています。あれもこれも聞こうとすると、最初の一つで時間が終わります。だから家庭ごとに、いちばん引っかかっている点を一つだけ選んで持っていくのが現実的です。「うちの子は大人数の前で発言するのが苦手だが、授業で発言の機会はどう用意されているか」のように、子どもの具体的な様子を添えた質問にすると、返ってくる答えも具体的になります。
抽象的な質問——「混合教育とは何ですか」——は、方針の説明が返ってきて終わりがちです。方針は資料にも書いてあります。説明会でしか得られないのは、その方針が日々の場面でどう動いているかという話です。質問を具体的にするのは、答えを取りやすくするためだけでなく、自分たちが何を不安に思っているかを家族で共有する作業でもあります。
自己アピールシートと面接という入り口
入試の方式には、AO型の仕組みが使われてきたことが公表資料からわかっています。自己アピールシートと面接を組み合わせる型です。年度ごとの確定した日程や募集人数は、この記事では書きません。学校の公表する募集要項で確かめてください。
AO型と聞くと「成績が足りなくても入れる」と受け取る家庭がありますが、それは違います。自己アピールシートは、書く中身がなければ白紙になります。何を書くかは、小学校の6年間でその子が何をしてきたかに戻ります。塾で作れるのは文章の形だけで、中身は家庭と学校での積み上げです。面接も同じで、答えを暗記すると、質問を少し変えられたときに言葉が止まります。
自己アピールシートに書ける中身を、今から探す
自己アピールシートという言葉を聞くと、特別な実績を書かなければならないと思う家庭があります。しかし小学生の6年間で、大げさな実績を持つ子のほうが少ないはずです。書ける中身は、日常の中にあります。係の仕事を最後まで続けた、苦手な教科の宿題を毎日出した、友達との行き違いのあとに自分から声をかけた。こうしたことは、本人にとっては当たり前すぎて、書く価値があると思っていません。
だから親の役割は、本人が忘れている場面を拾って、言葉にして返すことです。「去年の運動会の前に、あなたは何をしていたっけ」と聞くと、本人の中から記憶が出てきます。そこで親が答えを先に言ってしまうと、本人の言葉になりません。聞き役に徹して、出てきた言葉をメモしておく。このメモが、願書の時期にそのまま材料になります。
面接についても同じことが言えます。想定問答を親が作って覚えさせるより、子どもが自分の言葉で話せる話題を三つほど用意しておくほうが強い。話したいことがある子は、質問が少しずれても、自分の話題に引き戻して話せます。
高校受験を前提にした3年間になる
武蔵野東中学校を選ぶということは、中学受験をした先に、さらに高校受験があることを受け入れるということです。これは重い話ではなく、計画の話です。中学3年間のどこで高校の情報を集め、どこで塾を切り替えるかを、入学した時点でおおよそ決めておけます。
よくあるのは、中1の三者面談の前の廊下で「高校のことはまだ先」と話し、中3の夏に慌てる流れです。先送りにした家庭が悪いのではなく、中学受験が終わった解放感のまま1年が過ぎるのが自然だということです。だからこそ、入学前に一度だけ、高校受験の年をカレンダーに書き込んでおく。それだけで中2の動き方が変わります。
武蔵境から通う場合、高校受験のときには通う先が変わっている可能性もあります。中学の3年間で通学路に慣れた距離感を、高校選びの条件にそのまま使えるとは限りません。中学受験の志望校を決めるときに、高校の選択肢がどこまで広がるかも一緒に見ておくと、あとで迷いが減ります。
学年ごとに、何をしておくか
3年間を漠然と置いておくと、気づいたときには中3の秋になります。学年ごとに、その年にしかできないことを一つずつ決めておくと動きやすくなります。
中1のうちは、学校の生活に慣れることが最優先です。通学の往復、授業の進み方、定期考査の範囲の出方。この三つが体に入るまで、高校のことは考えなくて構いません。ただし、年に一度だけ高校の文化祭か説明会に行っておくと、3年後の自分ごととして想像が始まります。
中2では、得意と苦手がはっきりしてきます。高校受験では、内申と当日の得点の両方が効きます。苦手科目を一つ選んで、その教科だけは毎日少し触れる習慣を作る。中2のうちに始めた習慣は、中3で慌てるときの支えになります。
中3では、志望する高校の候補を絞る時期と、受験勉強を詰める時期が重なります。ここで中学受験のときの経験が生きる家庭があります。願書を書いた、面接の練習をした、家族で志望校を話し合った。そのときの進め方を覚えているので、二度目は迷いが少ない。中学受験は、高校受験の予行演習でもあるのです。
塾をどう考えるか
中学受験の塾と高校受験の塾は、同じとは限りません。中学受験は小学校の教科を土台にした受験ですが、高校受験は中学校の定期考査と内申が関わってきます。通い続けるか、切り替えるかは、中2の終わりまでに一度考えておくとよいでしょう。切り替える場合、新しい塾の説明会や面談は中3の春には済ませておきたいところです。中3の夏から探し始めると、選択肢が狭まります。
所在地と通学を、家族で一度すり合わせる
小金井市緑町という所在地は、武蔵野市・三鷹市・西東京市の家庭にとって、近いようで少し遠い場所です。武蔵境を起点に考えると、通える範囲ではあるが、毎日の往復を想像すると別の判断になる、という距離感になります。ここは数字を並べるより、一度実際に歩いてみるほうが早い場面です。
説明会の帰りに、学校から駅までを子どもと歩いてみる。雨の日の道を想像しながら歩くと、家族の中で通学の話が具体的になります。このとき「遠いね」で終わらせず、何時に家を出るなら何時に着くかを一つ決めておくと、志望校の順番がつけやすくなります。
朝の時間から逆算する
通学を考えるときに見落とされやすいのが、朝の時間です。家を出る時刻が10分早まるだけで、起床時刻も10分早まります。それが3年間続くと、生活のリズムそのものが変わります。説明会で聞いた所要時間を、自分の家の玄関から数え直してみてください。駅までの道、電車を待つ時間、改札を出てから校門までの道。それぞれを足すと、案内の数字より長くなることがあります。
朝の時間は、子どもが自分で起きられるかどうかにも関わります。中学受験の朝は親が起こしていた家庭でも、中学に入れば自分で起きる場面が増えます。通学時間が長い学校を選ぶなら、起床の習慣をいつから作るかを、入学前から考えておくと安心です。
雨の日と、荷物の量
もう一つ、通学で忘れがちなのが荷物です。中学校では教科書に加えて、体操服や教材を持ち歩く日があります。雨の日に傘を持って、その荷物を抱えて電車に乗る場面を想像すると、距離の感じ方が変わります。実際に一度、ランドセルではなく手提げの荷物を持って歩いてみると、子ども自身が「毎日は大変かもしれない」と気づくことがあります。親が説明するより、本人が体で感じたほうが、志望校の順番の話が現実的になります。
願書を出す前に確かめること
武蔵野東中学校を志望校の一つに置くなら、次の順で確かめると迷いが残りません。
1. 所在地と通学路を、地図と実際の歩行の両方で確認する 2. 高校を持たない中学校であることを、家族の全員が同じ理解でいるか確かめる 3. 混合教育の方針について、授業中と休み時間の様子を分けて説明会で聞く 4. AO型の入試で求められる自己アピールシートに、書ける中身が今あるかを親子で見る 5. 年度ごとの日程と募集の条件は、学校の公表する募集要項で確かめる
2番は、意外に抜けます。親は理解していても、子どもは「附属に上がれる」と思い込んでいることがあります。中学受験の志望校を話すときに、その先の3年間の話を一度しておくと、入学後の動機がぶれません。
願書の時期に焦らないために
願書を書く時期になってから、自己アピールシートの中身を探し始めると間に合いません。書く材料は、小学校生活の6年間に散らばっています。だから願書の時期ではなく、志望校を考え始めた時期から、子どもの様子をメモしておくのが現実的です。家族で食事をしているときに出た話、学校の連絡帳に書かれていた先生の一言、習い事で続けていること。こうしたものを一か所に集めておくと、願書の時期に「何を書こう」と悩む時間が短くなります。
面接の練習も、直前ではなく余裕のある時期に一度やっておくと、子どもが緊張に慣れます。家族の前で話すのと、知らない大人の前で話すのでは、緊張の度合いが違います。塾の面談や学校の先生との話の場を、練習の機会として使う家庭もあります。
当塾では、入塾の前にカウンセリングの時間を取っています。志望校の所在地や進路の形を、家族の言葉で説明できるかどうかを一緒に確かめる場として使えます。
まとめ——名前の印象より、地図と進路で決める
武蔵野東中学校は、小金井市緑町にある私立の共学校です。高校を持たないため、卒業後は高校受験に進みます。混合教育という学園の方針と、自己アピールシート・面接を組み合わせたAO型の入試の型が、志望校として名前が上がる理由になっています。
決める前に確かめるのは、この3つです。所在地が小金井市であること。高校受験が3年後に来ること。混合教育の中身は説明会でしかわからないこと。名前の響きで志望校の順番を決めると、入学後に「聞いていたのと違う」が起きます。地図を開き、募集要項を読み、説明会で質問を一つ持っていく。この順番で進めれば、願書を書く時期に迷いは残りません。