日本獣医生命科学大学の一般選抜と総合型選抜
武蔵境の改札を出て、南口の坂を下りる
武蔵境駅の南口を出ると、目の前の道をそのまま進むだけで日本獣医生命科学大学の入口に着きます。改札を抜けてから数分という距離です。塾に通う中学生や高校生のなかにも、この大学の前を通って帰る子は少なくありません。名前は知っていても、何学部があって、どういう入り方があるのかまで話せる子は多くない。だから保護者の方から「あの大学は獣医の学校ですか」と聞かれることがあります。答えは「獣医の学部と、もう一つ別の学部があります」です。ここを混ぜたまま話が進むと、志望の組み立てがずれます。
この記事では、日本獣医生命科学大学の学部の構成と、一般選抜・総合型選抜・学校推薦型選抜という入り方の違いを、公表されている範囲で整理します。武蔵境から通う家庭が、説明会の前に何を確かめておくと話が早いか、という順番で書きます。
大学の基本情報
所在地は東京都武蔵野市境南町1-7-1です(情報誌の学校情報より)。最寄りは武蔵境駅で、南口からすぐの立地にあたります。学部は獣医学部と応用生命科学部の二つです(大学の公表より)。この二つは名前が似た学科を抱えているわけではなく、入試の型も別々に置かれています。まずここを分けて考えるのが出発点になります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 東京都武蔵野市境南町1-7-1 |
| 最寄り駅 | 武蔵境駅(南口からすぐ) |
| 学部 | 獣医学部、応用生命科学部 |
武蔵野市の外から通う家庭にとっては、この立地は大きい。三鷹や小金井からでも、中央線と西武多摩川線が交わる武蔵境まで出れば、そこから歩いて大学に着きます。説明会や個別相談に出るたびに、駅からの道のりを毎回確かめ直さずに済むのは、志望を続けるかどうかを考えるうえで地味に効きます。逆に言えば、通学の負担が小さいぶん、志望理由を詰めないまま「近いから」で受けようとする子も出やすい。そこは塾側で一度立ち止まらせるところです。
二つの学部を「同じ大学」でまとめない
獣医学部と応用生命科学部は、同じキャンパスにあり、同じ駅を使う。だから家庭の会話では「あの大学」と一括りにされがちです。ですが入試の型は学部ごとに別々に置かれていて、総合型の型の有無も、推薦の枠の置かれ方も同じではありません。一括りにしたまま対策を始めると、志望する学部では使えない入り方を前提に準備してしまうことがあります。
塾では、志望を聞いたときに必ず「どちらの学部か」を先に確かめます。ここが曖昧なまま話が進むと、あとで入り方の選択肢を並べ直すところからやり直しになるからです。学部が決まれば、その学部で使える入り方を全部並べ、それぞれに何が必要かを書き出します。学部が決まっていなければ、まず仮で決めるところから始めます。仮で決めてよい、というのがこの段階の大事な点です。並べてみて初めて見えることもあります。
一般選抜の考え方
一般選抜については、独自試験方式と共通テスト併用方式が置かれてきた、という公表があります(古い公表より)。ここで大事なのは、方式が二つあるという形そのものより、どちらで受けるかを早めに決める必要があるという点です。独自試験方式は大学の試験で決まる、共通テスト併用方式は共通テストの結果を組み合わせる、という性格の違いがあります。どちらを選ぶかで、秋から冬の勉強の配分が変わります。
ただし、現在の方式の構成や教科・配点は年度で動きます。この記事の情報をそのまま出願の判断に使わず、必ず最新の学生募集要項で確かめてください。塾の現場でも、前の年度の要項を開いたまま話を進めそうになったら、一度閉じて最新のものを出し直す、という手順を徹底しています。古い要項は方式の名前は合っていても、科目の扱いが変わっていることがあるからです。
一般選抜を考える家庭が今の時期にやっておけることは、大きく三つです。
- 独自試験方式と共通テスト併用方式のどちらを主軸にするかを、志望学部ごとに決めておく
- 共通テスト併用を視野に入れるなら、共通テストの科目の準備を夏までに始めておく
- 過去の要項で方式の名前と流れだけ頭に入れ、数値は最新の要項で入れ直す
三つ目が抜けやすい。方式の名前だけ覚えて、科目や配点を古いまま思い込んでいる状態が一番危ないです。
二つの方式は「併願」ではなく「選択」として考える
独自試験方式と共通テスト併用方式は、両方に出願するものと受け取られがちです。ですが、まず考えるべきは主軸をどちらに置くかです。主軸が決まっていないと、夏の勉強の配分が決まりません。共通テスト併用を視野に入れるなら、共通テストの科目は早めに手をつける必要があります。逆に独自試験方式を主軸にするなら、大学の試験の出題に合わせた対策に時間を寄せることになります。
ここでよくある誤解が、「共通テストの勉強をしておけば独自試験にも効く」という受け取り方です。共通テストと大学独自の試験では、問われ方の性格が違います。共通テストの対策が無駄になるわけではありませんが、同じ勉強がそのまま両方に効くわけではない。だから主軸を決め、もう一方は補助として位置づける、という順番が要ります。
計算の例で、締め切りから逆算する
共通テスト併用を視野に入れる場合の逆算を、一度具体的に見ておきます。共通テストの本番が1月の中旬にあるとします。そこから逆算すると、12月には共通テストの科目を仕上げの段階に置いておきたい。11月には過去問や予想問題で時間を計る練習に入りたい。10月には苦手科目の底上げを一度終えたい。夏の終わりには、共通テストの科目を一通り最後まで通しておきたい。
この並びを見ると、共通テスト併用を選ぶかどうかを決める期限は、夏の前ということになります。夏が終わってから「やはり共通テストも使おう」と思っても、科目を一通り通す時間が残っていない。だから塾では、高3の春の面談で、主軸をどちらにするかを一度決めてもらいます。決めたうえで、秋の模試の結果を見て組み替えることはあります。ただし、組み替えには前提となる準備が要る。何もしていない状態から秋に組み替えるのは現実的ではありません。
独自試験方式を主軸にする場合も、逆算の考え方は同じです。大学の試験の出題に合わせた対策は、過去の出題の傾向を踏まえて組み立てます。傾向の確認は早いほどよく、遅くとも秋までには一度通しておきたい。ここでも、要項と過去の出題を最新のもので確かめる、という手順が先に来ます。
総合型選抜の型
総合型選抜は、学部によって型が違います。応用生命科学部は第1回から第3回までの複数回の型が置かれています。回が分かれているということは、準備の締め切りも回ごとに来るということです。第1回に出せる状態をいつ作るか、を逆算して決める必要があります。
獣医学部の総合型は、一次が書類審査、二次が面接とプレゼンテーションという型です(情報誌より・年度で変わる)。書類で一度ふるいにかかったうえで、面接とプレゼンテーションが課される。ここで見落とされがちなのは、プレゼンテーションの準備を二次が決まってから始めると間に合わない、という点です。書類の段階で何を書いたかと、二次で何を話すかはつながっていないといけません。書類では「志望の理由」を書き、二次では「その理由を裏づける具体」を話す。この二つが別々の方向を向いていると、面接の場で噛み合わなくなります。
総合型を考える家庭が確かめることは、次のようなものです。
- 自分の志望する学部に、総合型の型がそもそも置かれているか
- 複数回の型なら、どの回を狙うか
- 一次と二次で何が見られるのか(書類・面接・プレゼンテーションの組み合わせ)
- 出願までに、志望理由を裏づける体験や調べ物をどこまで積めるか
一点、当塾の体制について書いておきます。総合型選抜の対策は、宮川と藤崎の二人で担当しています。書類の添削と面接・プレゼンテーションの練習を、同じ二人が続けて見る形です。書類で書いたことを面接の練習でそのまま使えるので、一次と二次の間で話がずれにくくなります。
なお、総合型選抜の合格保証(全額返金)は、藤田塾長の特別コースにのみ付きます。一般の総合型選抜コースに合格保証・返金の制度はありません。
複数回の型は「早い回」が有利とは限らない
応用生命科学部のように第1回から第3回まで回が分かれている型では、「早い回に出したほうがよい」と単純に考えがちです。ですが、回が分かれているということは、準備の完成度を回ごとに合わせられるということでもあります。第1回に間に合わせるために志望理由を浅いまま出すより、第2回に向けて体験や調べ物を積んでから出すほうが、書類の中身は濃くなります。
大事なのは、どの回を狙うかを早めに決めることです。狙う回が決まれば、そこから逆算して、いつまでに何を積むかが決まります。逆に、回を決めないまま「出せる状態になったら出す」と構えていると、準備がだらだらと延びて、どの回にも間に合わない、ということが起こります。塾では、複数回の型の学部を志望する子には、春のうちに狙う回を仮で決めてもらい、夏と秋に見直す、という進め方をしています。
書類と面接・プレゼンテーションをつなぐ
獣医学部の総合型のように、一次が書類審査、二次が面接とプレゼンテーションという型では、一次と二次が別々の試験のように見えます。ですが、見ている側からすれば、一次で書いた志望理由と、二次で話す内容が同じ方向を向いているかどうかが問われます。書類で「なぜこの学部か」を書き、二次で「その理由を裏づける具体」を話す。この二つがつながっていれば、面接の受け答えに一貫性が出ます。
逆に、書類では立派な志望理由を書いたのに、二次の練習で話す内容が別の方向を向いていると、面接の場でちぐはぐになります。塾で書類の添削をするときは、書いた文章をそのまま面接の練習の材料にします。書類で書いた一文を、口で言えるかどうか試す。言えない文は、書類の時点で書き直す。この往復をしておくと、一次と二次の間で話がずれにくくなります。
学校推薦型選抜という選択肢
日本獣医生命科学大学には、学校推薦型選抜(一般公募推薦)の枠もあります。獣医学部にも一般公募推薦の枠が置かれています。人数はその年度の募集要項で確かめてください。これは確定値として受け取らず、「推薦の枠が置かれている」という形で捉えてください。人数は年度で動きます。
推薦を考えるときに塾で必ず聞くのは、「学校の推薦が下りる見込みがあるか」です。一般公募推薦は、高校の推薦を得て出願する型です。評定の基準や出席の扱いは高校ごとに違うので、大学の要項だけでなく、通っている高校の進路指導の先生に早めに確認する必要があります。ここを飛ばして対策だけ先に進めると、出願の段階で詰まります。
推薦の枠がある学部と、総合型の型がある学部は、同じとは限りません。獣医学部と応用生命科学部のどちらを志望するかによって、使える入り方が変わる。だから志望学部を先に固めるのか、入り方から逆に学部を考えるのか、家庭によって順番が分かれます。塾としては、まず学部を仮に決め、その学部で使える入り方を全部並べてから、もう一度学部の志望を確かめる、という順番を勧めています。
推薦は「楽な入り方」ではない
推薦の枠があると聞くと、「一般選抜より楽に入れる」と受け取る家庭があります。ですが、推薦は出願の段階で高校の推薦が要る型です。評定や出席の扱いは高校ごとに違い、基準を満たしていなければ出願そのものができません。つまり、推薦を使えるかどうかは、高校での日々の積み重ねで決まってきます。高3になってから「推薦にしよう」と思っても、評定は動かせません。
だから推薦を視野に入れるなら、早い段階で高校の進路指導の先生に条件を確かめ、その条件に向けて日々の授業と提出物を整える必要があります。塾で見ている範囲でも、推薦を考えている子は、定期考査の前の準備の仕方が変わります。提出物の期限を自分で管理し、観点別の評価を意識して授業に臨む。この積み重ねが、出願の可否に直結します。
説明会の前に、家庭で決めておくこと
武蔵境駅前という立地は、説明会に何度でも足を運べるということでもあります。これは強みですが、回数を重ねるうちに「行った満足」で終わってしまう危険もあります。説明会の前に、家庭で決めておくことを三つに絞っておくと、聞くことがぶれません。
一つ目は、獣医学部と応用生命科学部のどちらを軸にするか。二つ目は、一般選抜・総合型選抜・学校推薦型選抜のうち、今の時点で現実的に使えそうな入り方はどれか。三つ目は、最新の学生募集要項をいつ、誰が取りに行くか。三つ目は軽く見られますが、一番大事です。要項は大学の窓口でもらうか、公式の公表で確かめる。古い年度のものを家に置いたままにしない、というルールを決めておくと、家族の間で情報が食い違わなくなります。
よくあるのは、三者面談の前の廊下で、お母さまが「この大学は推薦で入れるんでしたっけ」と聞いてこられる場面です。推薦の枠はありますが、高校の推薦が下りるかどうかは別の話で、そこは高校の先生に確かめないと決まりません。この一言で、面談で聞くことが「推薦は使えますか」から「うちの高校から推薦を出す条件は何ですか」に変わります。聞き方が変わると、返ってくる答えの具体度が変わります。
学期ごとに、家庭でやることを分ける
説明会や要項の確認は、一度で終わるものではありません。学期ごとにやることを分けておくと、抜けが出にくくなります。
春は、学部を仮で決めるところから始めます。獣医学部か応用生命科学部か、まだ決めきれないなら、両方の入り方を並べてみる。この時期に要項の最新版を手に入れ、方式の名前と流れだけ頭に入れておきます。
夏は、主軸を決める時期です。一般選抜なら独自試験方式と共通テスト併用方式のどちらを主軸にするか。総合型なら、複数回の型のどこを狙うか。推薦なら、高校の推薦の条件を進路指導の先生に確かめる。夏の終わりまでに、この三つのどれを軸にするかを一度決めておくと、秋からの準備がぶれません。
秋は、決めた軸に沿って準備を進めながら、模試の結果などを見て組み替えが必要かを確かめます。総合型や推薦を視野に入れるなら、書類の準備と面接・プレゼンテーションの練習をこの時期に重ねます。書類で書いたことを面接の練習で使い、つながりを確かめる。この往復が、秋の準備の中心になります。
冬は、出願の手続きと最終確認です。要項の最新版で、科目・配点・日程をもう一度確かめる。古い年度の要項を見ていないか、家族で声をかけ合う。ここで一度立ち止まると、出願の段階での取り違えを防げます。
用語を平易に置き換えておく
家庭の会話で混ざりやすい用語を、ここで一度整理しておきます。独自試験方式は、大学が用意した試験の結果で合否が決まる型です。共通テスト併用方式は、大学の試験に加えて共通テストの結果を組み合わせる型です。総合型選抜は、書類や面接、プレゼンテーションなど、試験の点数だけでは測らない部分を見る型です。学校推薦型選抜は、高校の推薦を得て出願する型です。
この四つは、名前が似ていても中身が違います。「推薦」と「総合型」を同じものとして話している家庭もありますが、出願の前提が違います。推薦は高校の推薦が要る。総合型は、高校の推薦を前提としない型として置かれています。この違いを押さえておくと、説明会で聞くことが具体的になります。
武蔵境から通う視点
最後に、通う距離の話をします。武蔵境駅の南口からすぐという立地は、通学時間を勉強に回せるという意味を持ちます。中央線沿いや西武多摩川線沿いから通う子なら、移動の負担は小さく済む。そのぶん、放課後の使い方をどう組むかが成績を分けます。塾に寄ってから帰るのか、家で一度落ち着いてから課題をやるのか。大学が近いことは、この組み立てを考える余裕を生みます。
一方で、近いからこそ志望理由が薄いまま進んでしまう子もいます。総合型の書類でも面接でも、問われるのは「なぜこの学部か」です。駅からの近さは志望理由にはなりません。通いやすさで志望を決め、そのあとで理由を後づけする、という順番になっていないかを、一度確かめてください。
近さを志望理由に変えるには、通いやすさを「何に使うか」まで落とす必要があります。移動の負担が小さいぶん、実験や実習の準備に時間を回せる。説明会や個別相談に何度でも足を運べる。こうした使い道を具体的に言えると、志望理由のなかに通いやすさが生きてきます。逆に、使い道を言えないまま「近いから」で終わると、面接の場で言葉が続きません。
入塾前のカウンセリングでは、志望学部と使えそうな入り方を並べるところから始めています。武蔵境という土地で、通いやすさを味方につけながら、志望理由をどこまで具体にできるか。そこがこの大学を目指す家庭の分かれ目になります。