東京女子大学の一般選抜と総合型選抜——善福寺のキャンパスで考える

吉祥寺駅から歩く通学路の先に

武蔵境の教室で、高2の秋に進路の話をしていると、吉祥寺駅から西へ歩いた先にある女子大の名前が出ることがあります。東京女子大学です。所在地は杉並区善福寺で、武蔵野市ではありません。ただ、吉祥寺駅や西荻窪駅からの通学圏に入るので、武蔵野市・三鷹市あたりから通う家庭にとっては「吉祥寺の近くの大学」という感覚に近いのだと思います。実際、説明会の帰りに「思ったより駅から歩くなあ」という話をされる方は少なくありません。住所を武蔵野市内と覚えてしまうと、通学経路の見当がずれます。まずは善福寺という所在地を地図で確かめるところから始めてください。

この大学は現代教養学部の1学部制です。学部が一つしかないということは、入学後の学びの枠組みが一つの学部の中で組まれているということです。学科の構成や専攻の分かれ方は年度によって動きがあるので、志望を固める前に、その年度の学生募集要項で自分の関心に近い領域がどこに置かれているかを確かめる必要があります。

この記事では、東京女子大学の入り方のうち、総合型選抜「知のかけはし入学試験」と、一般選抜について整理します。方式の細目や配点は、ここでは書きません。理由は単純で、年度ごとに要項が変わるからです。数字を先に覚えてしまうと、最新の要項を読んだときに「話が違う」となりやすい。仕組みの骨格をつかんで、細目は要項で埋める。この順番で読んでください。

総合型選抜「知のかけはし入学試験」とは何か

東京女子大学の総合型選抜には「知のかけはし入学試験」という名称の方式があります。2017年度に導入された方式だと大学が公表しています。名前だけを見ると抽象的に感じますが、選考の型はかなり具体的です。

一次選考は出願書類です。ここで講義の要旨や小論文、グループディスカッション、面接といった二次選考の材料になる土台が問われます。二次選考は、講義を聴いてその要旨をまとめ、講義に関連した小論文を書く、グループディスカッションに参加する、面接を受ける、といった型で組まれています。つまり、筆記試験の点数だけで合否が決まる入試ではありません。講義を聴いて理解し、自分の言葉に置き換え、他人と議論する。この一連の動きが試されます。

型にはいくつか種類があります。ディスカッション型があり、2027年度には数学的思考力型が新設されることが公表されています。同じ「知のかけはし」という名前でも、選考の中で何を重く見るかが型によって違うということです。志望する型がどれなのかは、出願前に必ず要項で確認してください。

奨学金と併願のルール

この入試には「挑戦する知性」奨学金が結びついています。学納金相当額を4年間給付する制度だと大学が公表しています。4年間という期間が明示されている点は、家庭にとって大きいと思います。入学時の一時的な支援ではなく、在学中の学納金をカバーする形だからです。ただし、給付には条件や対象の定めがあるはずですから、制度の詳細は要項と大学の公表資料で確かめてください。

併願についても変更があります。2023年度入試から、他大学や本学の他の方式との併願が可能になったと大学が公表しています。それ以前は、この方式に専念する形を求められる場面があったということです。併願が可能になったことで、一般選抜との組み合わせを考えやすくなりました。ただし、併願の可否は年度によって変わりうるので、受験年度の要項で再確認するのが安全です。

英語要件と評定は「要項で確かめる」に尽きる

出願にあたって英語の資格や評定の要件が置かれている年度があります。具体的な数値はここには書きません。情報誌などで見かける数値をそのまま覚えてしまうと、年度が変わったときに判断を誤るからです。英語の外部資格の扱いも、評定の基準も、出願資格に関わる部分です。志望が固まってきたら、まず要項の出願資格のページを開き、そこに書かれている条件を一つずつ自分の成績と照らしてください。照らす作業を飛ばして対策を始めると、あとで出願できないことがわかる、という残念な展開になりえます。

ここでよくある誤解を一つ訂正しておきます。「総合型選抜は評定が高くないと出願できない」と一律に言われることがありますが、要件が置かれているかどうか、どの程度の基準かは年度と方式によります。逆に「総合型は評定を見ない」というのも言い過ぎです。出願資格としての評定と、選考資料としての成績の扱いは別の話だからです。どちらも要項の記載がすべての出発点になります。学校の先生に聞くのも構いませんが、最後は要項の文言で確かめてください。

一般選抜で確かめること

一般選抜については、この記事で方式名や配点を挙げません。年度ごとに方式の構成が動くからです。代わりに、確かめる順番を示します。

第一に、自分が使う方式の名前と、その方式で課される教科・科目です。同じ大学の一般選抜でも、方式によって科目の組み合わせが違います。得意科目で受けられる方式があるなら、それは志望校選びの材料になります。

第二に、日程です。一般選抜は複数の日程で実施されることが多く、同じ大学でも日程によって方式が違う場合があります。併願を考えるなら、日程の重なりをカレンダーに落とす作業が必要です。

第三に、総合型選抜との関係です。2023年度入試から他大学や本学の他方式との併願が可能になったと公表されていますから、総合型で出願しながら一般選抜も受ける、という組み立てが取りやすくなりました。ただし、総合型の結果が一般選抜の出願にどう関わるかは要項の定めによります。ここは推測せず、要項の記載をそのまま読んでください。

第四に、科目の配点と得点の扱いです。配点が公表されていれば、どの科目に時間を寄せるかの判断材料になります。配点は要項や大学の公表資料に載っています。塾や情報誌の要約ではなく、原典で確認する習慣をつけておくと、直前期に迷いません。

要項を読む順番を決めておく

要項は分厚い冊子です。最初から通読しようとすると、途中で力尽きます。だから順番を決めます。最初に開くのは出願資格のページです。ここで自分が土俵に上がれるかを確かめる。次に総合型の選考の型と日程、続いて一般選抜の方式と日程、最後に配点と得点の扱い。この順で読むと、判断が必要な場面が前に来ます。読む順番を決めておくだけで、同じ冊子がずっと読みやすくなります。

もう一つ、要項は紙で手元に置くことをおすすめします。画面で読むと、出願資格のページと日程のページを行き来するたびに探し直すことになります。付箋を貼った紙の冊子なら、その往復が数秒で済みます。家族で同じ冊子を囲めるのも紙の利点です。

講義を聴いて書く、という対策の難しさ

「知のかけはし」の二次選考は、講義を聴いて要旨をまとめ、関連の小論文を書く型を含みます。この形式に慣れていない高校生は、最初の一回でかなり戸惑います。よくあるのは、講義のメモを取ることに集中しすぎて、要旨をまとめる段階で「何が主張だったか」を思い出せないという場面です。板書を写すのと同じ感覚でメモを取ると、話の骨格が抜け落ちます。

対策としては、講義を聴きながら「主張・根拠・例」の三つに分けてメモを取る練習があります。学校の授業でも、先生の話をこの三つに仕分けしながら聞くことはできます。特別な教材は要りません。日々の授業を素材にするのが、一番続きます。

要旨をまとめる練習は、書く量を絞るところから始めると続きます。講義の内容を長々と再現するのではなく、まず主張を一文で書く。次にその根拠を二文で書く。最後に例を一つ添える。この四文で一度区切ってみてください。区切ってから、足りない情報を足す。最初から完璧な要約を書こうとすると、手が止まります。短く書いてから膨らませる順番のほうが、結果として早く仕上がります。

グループディスカッションも、対策のしようが見えにくい領域です。意見を多く言えばよいわけではなく、他の人の発言を受けて話を前に進める力が見られます。教室では、少人数の議論の場を意識して作るようにしています。当塾では総合型選抜の担当を宮川と藤崎の二人で置いていますので、書類の読み込みと議論の練習を役割を分けて見る形になります。

書類については、志望理由を「なぜこの大学か」から書き始めると薄くなりがちです。まず「自分が何を学びたいのか」を書き、その学びがこの大学のどこで続けられるのかを後から重ねる。順番を逆にすると、大学の説明をなぞる文章になります。一次選考は書類ですから、ここで差がつきます。

議論の練習で見られていること

グループディスカッションで評価されるのは、声の大きさでも発言回数でもありません。他の人の意見を拾って、論点を整理し、次の一手を出す。この動きができるかどうかです。練習の場では、あえて「まとめ役」を一度やってみることをおすすめします。全員の発言を短く整理して「今の話はこういう対立ですね」と置き直す。これを一回やると、議論の進め方が体でわかります。

もう一つ、意見が対立したときに黙り込む場面もよくあります。黙る時間が長いと、その場の空気が止まります。対立したら「では、どこまでが一致していて、どこからが違うのか」を確かめる一言を出す。これだけで議論は再び動きます。特別な知識は要りません。日ごろの話し合いでも練習できます。

善福寺という立地を通学の条件に入れる

所在地が杉並区善福寺であることは、通学の計画に直接効きます。吉祥寺駅・西荻窪駅が圏の駅になりますが、駅からキャンパスまでの距離と所要時間は、実際に歩いてみないと実感がつかめません。説明会やオープンキャンパスの機会に、駅から歩く経路を一度たどっておくと、4年間の通学のイメージが具体的になります。

武蔵境から通う場合、吉祥寺に出る経路と西荻窪に出る経路の両方が考えられます。朝の時間帯にどちらが現実的かは、乗り換えの回数と歩く距離で変わります。武蔵野市に住んでいるから武蔵野市内の大学、という発想ではなく、実際の経路で考える。善福寺という住所を地図に落とすところから、通学の現実味が生まれます。

また、1学部制であることは、入学後の学びの組み立てにも関わります。現代教養学部の中で自分の関心をどう位置づけるかは、入学してから決まる部分もあります。だからこそ、志望理由を書く段階で「この学部で何をしたいのか」を具体的にしておくことが、総合型でも一般選抜でも生きてきます。

立地を確かめるときは、行きの経路だけでなく帰りの経路も見ておくとよいと思います。夕方以降に授業が終わったとき、駅までの道がどう見えるか。暗さや人通りの印象は、昼の説明会ではわかりません。オープンキャンパスの帰りに、少し遠回りして駅まで歩いてみる。その一度の経験が、4年間の通学の判断材料になります。

学期ごとに何をするか

年間の動きを月ごとに落としておくと、計画が立てやすくなります。ここでは、総合型と一般選抜の両方を見据えた動き方を、学期の区切りで整理します。

高2の三学期から春にかけては、情報を集める時期です。大学の公式サイトで資料請求をし、要項と募集資料を手元に置きます。この段階では、まだ志望を一つに絞る必要はありません。気になる大学を複数並べて、それぞれの要項の出願資格と選考の型を比べる。比べることで、自分がどの型の入試に向いているかが見えてきます。

高3の一学期は、書類の素材を集める時期です。志望理由を書くには、自分が何を学びたいのかを言葉にする作業が要ります。授業で興味を持ったテーマ、読んだ本、調べたことを、小さなメモに残しておく。このメモが、夏に書類を書くときの材料になります。同時に、英語の資格や評定の条件を成績表と照らし、足りない部分があれば補う計画を立てます。

高3の夏は、書類の下書きと議論の練習を並行させる時期です。書類は一気に書かず、下書きを何度か書き直します。書き直すたびに、志望理由の芯が細くなっていく感覚があれば、それは良い兆候です。議論の練習は、少人数の場で一度経験しておくと、本番の緊張が和らぎます。

高3の二学期は、出願の準備と一般選抜の対策を両立させる時期です。総合型の出願が終わっても、結果が出るまでは気が抜けません。併願が可能な年度であれば、一般選抜の対策を止めずに続けます。ここで一般選抜の勉強を止めてしまうと、結果が出たあとに取り返しがつかなくなります。両方を細く長く続けるのが、この時期の現実的な構え方です。

今月やることに落とす

高2の秋なら、まず要項を入手してください。大学の公式サイトから資料請求ができます。要項が届いたら、出願資格のページ、総合型の選考の型、一般選抜の方式と日程、この四か所に付箋を貼ります。全部を読もうとすると疲れるので、付箋の場所から読む。これで十分です。

高3なら、総合型に出願するかどうかを決める期限が近づいています。2023年度入試から併願が可能になったとはいえ、書類の準備には時間がかかります。講義の要旨をまとめる練習と、志望理由の推敲は、どちらも一夜では仕上がりません。逆算して、書類の下書きを書き始める時期を決めてください。

英語の資格や評定の要件が置かれている年度があるので、自分の成績表を開いて条件と照らす作業も、この時期に済ませておきたいところです。台所で通知表を開いたまま、スマートフォンで要項のページを探している、という場面をよく見ます。条件が足りているかどうかで、その後の計画が変わるからです。

入塾前のカウンセリングでは、こうした要項の読み込みの順番から一緒に確認しています。志望が固まっていない段階でも構いません。善福寺までの経路を地図で確かめるところから、話を始めましょう。