都立武蔵野北高校の紹介と入試
武蔵境から西へ、八幡町の坂の上にある都立高校
武蔵野市で都立高校を考えるご家庭の話を聞いていると、吉祥寺や三鷹の名前といっしょに、武蔵野北高校の名前が出てくることがあります。所在地は武蔵野市八幡町2丁目3-10(学校の公式サイトより)。武蔵境から見ると市の西側、五日市街道から少し入った住宅街のなかにあります。電話番号は0422-55-2071です。
この記事では、武蔵野北高校がどんな学校で、どんな入り方があるのかを、東京都教育委員会の公表資料と学校の公式サイトで確かめられる範囲で整理します。とくに令和9年度の入学者選抜から、この学校に新しい計算方式が加わることになっています。そこは受験を考える家庭にとって見逃せない変更ですので、後半で計算の形まで具体的に見ていきます。
学校の基本情報
まずは確認できる事実から並べます。
- 設置: 東京都立の全日制普通科
- 所在地: 〒180-0011 東京都武蔵野市八幡町2丁目3-10(学校の公式サイトより)
- 電話: 0422-55-2071
全日制の普通科ですので、学科による分かれ方はなく、普通科の枠で学ぶ形になります。所在地は武蔵野市の西のはしに近く、三鷹市や小金井市との行き来もしやすい位置です。武蔵境の駅から通う場合、バスを使うか自転車を使うかで毎朝の感覚が変わってくる距離感になります。実際の通学時間は、お住まいの場所によって大きく違いますので、説明会のときに一度道を確かめておくと安心です。
普通科という言葉は、専門学科と対になる言い方です。商業や工業のように学科が決まっている学校ではなく、国語・数学・英語・理科・社会を中心に、幅広く学ぶ枠だと考えておけば間違いありません。だからこそ、入学してから「自分は何を深めたいのか」を決めるのは本人の側になります。説明会で授業の様子や選択科目の話を聞いておくと、入学後の姿が想像しやすくなります。
推薦に基づく選抜と、一般入試という二つの入口
都立高校の入試は、大きく二つの入口に分かれます。推薦に基づく選抜と、学力検査を伴う一般入試です。武蔵野北高校もこの枠組みのなかで募集を行います。
推薦に基づく選抜では、個人面接などが行われることが学校の公表資料に示されています(令和7年10月6日付の資料より)。推薦ですので、学力検査の点数だけで決まるわけではありません。日ごろの学校生活の積み上げと、面接で自分の言葉で話せるかどうかが問われる場面になります。
一方の一般入試は、学力検査と調査書の点数を合わせて判定する方式です。都立の全日制普通科の多くは、この二つの入口の両方を用意しています。どちらで受けるかは、お子さまの得意・不得意と、学校生活で積み上げてきたものの両方を見て決めることになります。
ここでよくある誤解を一つ訂正しておきます。「推薦で受けるなら学力検査の勉強は後回しでよい」と考えるご家庭がありますが、推薦の結果が出るのは2月上旬です。そこから一般の学力検査までは三週間ほどしかありません。推薦の準備をしながらも、5教科の演習を細く長く続けておく。これが結果的にいちばん安全な進め方です。
令和9年度の日程
日程は東京都教育委員会が年度ごとに公表しています。令和9年度の入学者選抜の日程は次のとおりです(都教委の公表資料より)。
| 区分 | 出願 | 検査 | 合格発表 |
|---|---|---|---|
| 推薦に基づく選抜 | 1月8日〜1月18日 | 1月26日(火)・27日(水) | 2月2日(火) |
| 第一次募集 | 1月29日〜2月4日 | 2月21日(日) | 3月1日(月) |
| インフルエンザ等の追検査 | — | 3月9日 | 3月12日 |
出願はインターネット経由で行う形になっています。推薦の検査が1月下旬、一般の学力検査が2月21日ですから、冬の期間は推薦の準備と一般の対策が重なります。推薦で受ける場合でも、一般の勉強を止めないでおくことが結果的に安全です。推薦の発表は2月2日ですので、そこから一般までの期間がどれだけ残るかを、あらかじめ頭に入れておくと動きやすくなります。
日程を月ごとに見直すと、動き方がはっきりします。12月は出願書類の準備と三者面談、1月の前半は出願と推薦の面接練習、1月の後半から2月にかけては一般の過去問、という順番です。追検査の欄があるのは、インフルエンザなどで本番を受けられなかった場合の道が用意されているという意味です。体調を崩さないことが前提ではありますが、制度としてそういう枠があることを知っておくと、当日までの緊張の質が少し変わります。
令和9年度から加わる「7:3と10:0の高い方」方式
ここがこの記事でいちばんお伝えしたいところです。東京都教育委員会は2026年9月17日に、令和9年度入学者選抜から「7:3と10:0の高い方」を使う方式の対象校を公表しました。対象として示されたのは北園高校と武蔵野北高校の二校です(都教委の公表資料および報道より)。
どういうことかを、順に説明します。
都立の一般入試(第一次募集・分割前期)は、学力検査の得点と調査書点の合計を1000点満点で見ます。比率が7:3の学校なら、学力検査が700点、調査書が300点です。ここにESAT-Jの結果が加わります。ESAT-Jの点数はAが20点、Bが16点、Cが12点、Dが8点、Eが4点、Fが0点で、これを足すと1020点満点になります(都教委の公表資料より)。
武蔵野北高校は令和9年度から、この7:3の計算に加えて、10:0、つまり学力検査だけで1000点満点を計算する方式も併せて行い、高いほうの結果を採用する形になります。学力検査が得意なお子さまにとっては、調査書点に引っぱられずに済む場面が生まれるということです。逆に、内申をしっかり積んできたお子さまは7:3の計算で上位に入りやすくなります。二つの物差しのうち良いほうを使える、というのがこの方式の意味です。
第二次募集については、6:4と10:0の高い方を使う形になっています(都教委の公表資料より)。第一次で決まらなかった場合の計算も、同じ考え方で行われるわけです。
ESAT-Jという言葉に馴染みがない方も多いと思います。これは中学校の英語の授業で行われるスピーキングのテストで、その結果が都立入試の点数に加算される仕組みです。AからFまでの6段階で、Aが20点、Fが0点。5教科の学力検査とは別枠で足されるので、英語が話せるお子さまは、ここで数点を稼げる可能性があります。逆に、筆記は得意でも話すのが苦手という場合は、ここで差がつきやすい。日ごろの授業での取り組みが、そのまま点数になる領域だと考えておくとよいでしょう。
計算を一度、数字で見ておく
仕組みは言葉で追うと分かりにくいので、一度だけ具体的な数字で計算してみます。ここで使う数字は説明のための例で、特定のお子さまの成績ではありません。
まず換算内申です。都立の換算内申は、学力検査を行う5教科の評定をそのまま1倍、行わない4教科(音楽・美術・保健体育・技術家庭)の評定を2倍して足し、65点満点で見ます。たとえば9教科の評定がすべて3だったとします。5教科×3=15、4教科×3×2=24で、合計39点。65点満点のうちの39点です。
7:3の方式では、この換算内申を300点満点に直します。39÷65×300で、180点になります。学力検査は5教科で、1教科100点満点の合計500点を700点満点に直します。仮に5教科の合計が300点なら、300÷500×700で420点。調査書の180点と合わせて600点です。ここにESAT-Jの点数が加わります。
10:0の方式では、学力検査の500点を1000点満点に直します。同じ300点なら600点。ESAT-Jを足す考え方は同じです。
この例だと7:3でも10:0でも同じ600点になりますが、学力検査の出来が良ければ10:0のほうが高く出ますし、内申が厚ければ7:3のほうが高く出ます。どちらが高くなるかは、その年の学力検査の出来と内申の組み合わせで決まります。だからこそ、どちらか一方だけを狙って準備するのではなく、両方の物差しで損をしない状態を作っておくことが大切になります。
換算内申は13の倍数で動く場面が多く、素点は5の倍数で考えると端数が出ません。計算の練習をするときは、この刻みで置いてみると頭のなかで追いやすくなります。
もう一つの例も置いておきます。9教科の評定がオール4だった場合、5教科×4=20、4教科×4×2=32で、換算内申は52点。これを300点満点に直すと、52÷65×300で240点です。オール3の180点と比べると、60点の差がつきます。学力検査の素点に置き換えると、500点満点でおよそ43点ぶんに相当する重みです。定期考査の1点が、入試の合計では何点ぶんになるのかを、この目盛りで一度つかんでおくと、日ごろの勉強の位置づけが変わってきます。
逆に、学力検査で素点を20点伸ばした場合を考えます。500点満点の20点は、7:3の計算では700点満点に直して28点ぶん。10:0の計算では1000点満点に直して40点ぶんになります。10:0の方式が加わるということは、学力検査の1点の重みが、計算の選び方によって変わるということでもあります。内申が伸びきっていないお子さまにとっては、ここが希望になる場面です。
学力検査の土台になる数字
学力検査は国語・数学・英語・社会・理科の5教科です。一部の学校や学科では自校作成問題や傾斜配点がありますが、その一覧は都教委が公表しています。武蔵野北高校がどちらに当たるかは、必ずその年の公表資料で確かめてください。
参考として、令和7年度(2025年2月実施)の学力検査の平均点を見ておきます。都教委が公表した共通問題の受検者約31,000〜35,000人の数字です。
| 教科 | 令和7年度 | 前年度 |
|---|---|---|
| 国語 | 75.0 | 75.9 |
| 数学 | 60.4 | 61.7 |
| 英語 | 63.7 | 66.9 |
| 社会 | 59.9 | 55.5 |
| 理科 | 59.2 | 66.8 |
国語が突出して高く、数学と理科が低めに出た年です。前年度と比べると、社会は上がり、理科と英語は下がっています。平均点はその年の問題の難しさで動きますので、自分の目標を立てるときは、平均点そのものよりも、自分がどの教科で点を取れているかを見たほうが役に立ちます。
平均点の表は、見方を間違えると判断を誤ります。たとえば国語の平均が75点だからといって、国語で75点取れば安心という意味ではありません。平均点が高い教科は、それだけ点差がつきにくいということでもあります。逆に平均点が低い教科は、取れた人が少ないぶん、そこで差が開きやすい。合計点で勝負する入試では、平均点の低い教科で落とさないことが、結果的に効いてきます。令和7年度でいえば、数学と理科がその位置にあたります。
各学期に、家庭で何をするか
制度の話が続いたので、ここからは時期的な動き方に落とします。武蔵野北高校を志望するかどうかは別として、都立の普通科を考えるご家庭が、中学の各学期に何をしておくと迷わないかを並べます。
中学1年の1学期は、通知表の観点別評価の付け方を知るところから始まります。評定は定期考査の点数だけで決まるわけではなく、提出物や授業中の取り組みも含めてつけられます。換算内申は3年間の評定の積み上げですから、1年の1学期の評定が、そのまま3年まで持ち越されます。ここで「あとから上げればよい」と考えて落とした評定は、取り返すのに倍の時間がかかります。
1年の2学期から2年にかけては、定期考査のたびに、どの教科のどの分野で点を落としたのかを記録しておく時期です。5教科の素点を上げる土台は、この記録の積み上げにあります。同時に、英語のスピーキングのテストが入試に効くことを意識して、授業中の発話を嫌がらないようにしておきたいところです。
2年の3学期から3年の1学期は、説明会に出る時期です。武蔵野北高校のように計算方式が変わる学校は、説明会で配られる資料に目を通しておくと、家庭での準備の順番が決まります。この時期に模試を受けて、5教科の合計がどのあたりにあるのかを一度見ておくと、3年の夏に何を優先するかが決めやすくなります。
3年の1学期は、内申の最後の上積みができる学期です。ここで取れた評定が、7:3の計算での調査書点になります。同時に、夏休みの演習の計画を立てます。10:0の計算が加わる学校ですから、夏に学力検査の過去問を一度解いて、素点でどこまで届くのかを確かめておくと、秋以降の作戦が具体的になります。
3年の2学期は、定期考査と過去問演習が重なります。ここでどちらかを捨てると、7:3と10:0の両方の計算で伸びきらない結果になります。週のなかで曜日を分けて、定期考査の準備と過去問の日を固定しておくのが現実的です。12月から1月は出願書類と推薦の準備、1月の後半から2月は一般の仕上げ、という流れになります。
この学校を考える家庭が確かめておきたいこと
説明会や学校見学のときに、聞いておくと後で迷いにくいことを挙げておきます。
一つ目は、通学の道です。八幡町のあたりは坂や細い道がありますので、朝の時間帯に実際に歩いてみると、雨の日の感覚がつかめます。自転車通学が認められている範囲も、学校の決まりで確認しておきたいところです。
二つ目は、推薦で受ける場合の面接の準備です。個人面接などが行われることは公表資料にありますが、どんな質問が出るかは公表されていません。日ごろから自分の言葉で話す練習をしておくことが、結局はいちばんの備えになります。
三つ目は、令和9年度からの計算方式の変更を踏まえた準備の順番です。7:3と10:0の高い方を使う学校ですから、内申を疎かにする必要はありませんが、学力検査で点を取る力があれば救われる場面も増えます。定期考査の勉強と、模試や過去問の演習を、どちらも止めずに進めることが基本になります。
よくあるのは、三者面談の前の廊下で、お母さまとお子さまが通知表を片手に「この内申だと、あの学校はどうなのか」と話している場面です。その場で出てくる不安の多くは、計算の仕組みを知ると半分くらいに減ります。換算内申が何点で、それが300点満点の何点になるのか。学力検査で何点取れば合計がどうなるのか。紙の上で一度計算しておくと、面談のときに聞くことが具体的になります。
武蔵境から通うという視点
武蔵境のあたりから武蔵野北高校へ通う場合、電車で都心へ出るのとは違う生活になります。市内の西側ですので、吉祥寺や三鷹に出るより、自転車やバスで通う家庭が多い地域です。学校の周りは住宅街で、放課後に寄り道できる場所は多くありません。そのぶん、学校のなかで過ごす時間が長くなる過ごし方になります。
塾に通いながら受験を考える場合、学校の定期考査と塾の演習の両立が課題になります。武蔵野北高校のように7:3と10:0の両方で計算される学校では、内申を取るための定期考査の勉強と、学力検査のための演習のどちらも意味があります。片方だけを切り捨てなくてよいのは、この方式の利点です。ただし、どちらも中途半端になると、両方の計算で伸びきらない結果になります。週のなかで、定期考査の準備に使う時間と、模試や過去問に使う時間を、あらかじめ分けておくことが現実的です。
当塾では、入塾の前にカウンセリングの時間を取っています。お子さまの今の内申がわかれば、換算内申が何点で、7:3と10:0のそれぞれで合計がどう出るかは、この記事の計算のとおりに手元で出せます。数字が目の前にあると、次に何をすればよいかが決めやすくなります。
まとめ
武蔵野北高校は武蔵野市八幡町にある都立の全日制普通科です。推薦に基づく選抜では個人面接などが行われ、一般入試では学力検査と調査書の合計にESAT-Jを加えた1020点満点で判定します。令和9年度からは、7:3の計算と10:0の計算のうち高いほうを使う方式が加わります。第二次募集は6:4と10:0の高い方です。
計算の仕組みを知ると、準備の順番が見えてきます。換算内申を65点満点で把握し、それを300点満点に直したときの重みを知り、学力検査で何点取れば合計がどう動くかを一度計算しておく。そのうえで、定期考査と演習の時間を分けて進める。武蔵境から通う家庭にとっては、通学の道を確かめることも同じくらい大事です。説明会の帰りに、学校から駅までの道を歩いてみる。その一歩が、志望を決める材料になります。