武蔵野市立第一中学校の内申点事情
通知表を開く前に、知っておきたいこと
武蔵境の教室で、三者面談の前の廊下に立つお子さまとよくすれ違います。手に通知表の入った封筒を持って、開ける前から少し肩が下がっている。話を聞くと「今回は下がった気がする」と、点数だけを見て決めつけている場面です。よくあるのは、その封筒を家に帰って台所で開き、評定の数字だけを並べて一喜一憂して終わってしまうという場面です。数字そのものより、その数字が都立入試でどう使われるのかを知っておくほうが、次の学期の動き方は変わります。この記事は、武蔵野市立第一中学校に通うご家庭向けに、内申点の仕組みと都教委が公表している実測値の読み方を整理するものです。
武蔵野市立第一中学校の基本
武蔵野市立第一中学校は、武蔵野市立の中学校のうちの一つです。武蔵野市立の中学校は第一から第六までの6校があります。所在地は武蔵野市中町3-9-5で、市の公表資料で確認できます。現在、校舎の改築が進められていることも市の公表資料に書かれています。通学の範囲や建物の様子が変わりうる時期ですので、通学路や学校の連絡は市と学校の公表資料で確かめてください。
学区域の町名の割り振りについては、この記事では扱いません。どの町が本校の区域に入るかは、武蔵野市の学区域マップで確認できます。住所から通う学校を決める場面では、必ず市の最新の地図を見てください。兄弟が在学中で区域が変わった、引っ越しを考えている、といった事情があるご家庭ほど、地図の確認を後回しにしがちです。
ここで一つ、言葉の整理をしておきます。この記事で「内申点」と書くときは、通知表に付く9教科の評定を、都立入試のルールに沿って足し合わせた数字を指します。通知表の評定そのものと、入試で使う換算後の点数は別物です。同じ「オール3」でも、5教科と4教科の重みが違うため、入試の点数にすると39点になる、というのが次の節の話です。通知表を開いて数字を並べるとき、この二段構えを頭に置いておくと、どこを上げれば効くのかが見えやすくなります。
内申点は都立入試でどう効くか
都立高校の一般入試(第一次募集・分割前期)は、学力検査の得点と調査書点の合計が1000点満点です。比率が7:3の学校なら、学力検査が700点、調査書が300点になります。ここにESAT-Jの結果が加わります。Aが20点、Bが16点、Cが12点、Dが8点、Eが4点、Fが0点で、合計は1020点満点になります(東京都教育委員会の令和9年度入学者選抜実施要綱より)。
調査書点のもとになるのが換算内申です。学力検査を実施する5教科(国語・数学・英語・社会・理科)の評定はそのまま1倍、実施しない4教科(音楽・美術・保健体育・技術家庭)の評定は2倍にして足し合わせます。5教科がオール3、4教科がオール3なら、5×3+4×3×2=15+24=39で、65点満点のうちの39点です。ここから先は学校ごとの比率で調査書点に換算されます。
この計算を、もう少し丁寧に追いかけてみます。換算内申は65点満点ですから、1点の重みが5教科と4教科で違います。5教科の評定を1つ上げると換算内申は1点増えますが、4教科の評定を1つ上げると2点増えます。つまり、音楽・美術・保健体育・技術家庭のどれか1つを3から4に上げるのは、国語や数学を3から4に上げるのと同じ2倍の効果がある、ということです。ここを誤解しているご家庭が少なくありません。「主要5教科を頑張らせなければ」という意識が先に立ち、実技4教科の提出物や授業中の取り組みが後回しになる。通知表を見ると、5教科は4が並んでいるのに、4教科に3が残っている。もったいない形です。
さらに、この換算内申がそのまま調査書点になるわけではありません。7:3の学校なら、換算内申65点を300点に拡大して評価します。65点満点の39点は、300点満点に直すと39÷65×300で180点です。オール3で調査書点の6割を取れる計算になります。ここに学力検査700点とESAT-Jが加わって合否が決まる、という構造です。調査書点は満点を取る必要はなく、学力検査でどこまで取れるかとの組み合わせで決まります。ただ、同じ学力なら調査書点が高いほうが上に来るのは間違いありません。
もう一つ知っておきたいのは、一部の学校が「7:3と10:0(学力検査のみ1000点)の両方を計算して高いほうを使う」方式をとっていることです。令和9年度にこの方式の対象として公表されたのは北園高校と武蔵野北高校でした(都教委の2026年9月17日公表資料より)。武蔵野市から通える範囲の高校がこの方式に入っている点は、志望校を考えるときに一度確認しておく価値があります。この方式の学校では、調査書点が低くても学力検査が高ければ学力検査のみの1000点で勝負できる道が残ります。逆に言えば、調査書点が高いお子さまは7:3の計算で拾われる可能性がある。どちらの計算で自分が上に来るかは、志望校を決めた時点で一度試算しておくと、直前になって慌てずに済みます。
第二次募集は6:4と10:0の高いほうを使います。第一次募集で決まらなかった場合のルールも、同じ調査書点が土台になります。つまり、どのルートに進んでも内申点は消えません。
令和9年度の日程も確認しておきます。推薦の出願は1月8日から1月18日、検査は1月26日(火)と27日(水)、発表は2月2日(火)です。第一次募集の出願は1月29日から2月4日、学力検査は2月21日(日)、発表は3月1日(月)です。インフルエンザ等による追検査は3月9日で、発表は3月12日です。出願はインターネット経由で行われます(都教委の公表資料および2026年5月28日の報道発表より)。
学力検査は国語・数学・英語・社会・理科の5教科です。一部の学校や学科では自校作成問題や傾斜配点があります。自校作成校の一覧は都教委が公表していますので、志望校が当てはまるかはそちらで確かめてください。
参考までに、令和7年度(2025年2月実施)の学力検査の平均点も見ておきます。都教委が公表した共通問題の受検者約31,000〜35,000人の数字で、国語75.0、数学60.4、英語63.7、社会59.9、理科59.2でした。前年度は国語75.9、数学61.7、英語66.9、社会55.5、理科66.8です。年度によって教科ごとの平均は動きます。平均点が高い教科は点差が開きにくく、低い教科は1問の重みが大きくなりやすい。調査書点が同じでも、学力検査でどこを取るかによって順位は動く、という当たり前のことを数字が示しています。
評定の分布は、都全体の実測で見る
東京都教育委員会は「都内公立中学校第3学年等の評定状況の調査結果」を公表しています。令和7年12月31日現在の調査で、2026年3月に公表されたものです。調査対象は都内公立中学校等622校です。
公表されている例として、国語の評定「5」の割合は12.2%で、前年調査は12.3%でした。数学の評定「1」の割合は5.9%で、前年は6.1%です。どちらも都全体をまとめた数字で、特定の学校の数字ではありません。
学校別の評定割合も都教委は公表していますが、この記事では本校の学校別の数値には触れません。手元に実測がない以上、本校の評定が付きやすいとか厳しいとかいう話は書けませんし、書くべきでもありません。保護者の間で交わされる「この学校は内申が取りにくい」という噂の類は、実測ではなく印象です。印象で動くと、取るべき提出物を落としたり、受けられるはずの評価を逃したりします。
都全体で見れば、評定「5」は国語でおよそ8人に1人、評定「1」は数学でおよそ17人に1人という割合です。この数字をどう読むかです。5が付くのは一部だという当たり前の事実と、1が付くのも一定数いるという事実を、同時に受け取っておくのが健全です。わが子の通知表が平均より上か下かという見方ではなく、65点満点の換算内申のどこを積み上げるかという見方に切り替えるほうが、次の学期の行動につながります。
この2つの数字は、前年とほとんど変わっていません。国語の5が12.3%から12.2%へ、数学の1が6.1%から5.9%へ。年度が変わっても、評定の分布は大きくは動かない。これは裏を返せば、評価の付け方の枠組みが毎年大きく変わるわけではない、ということです。であればこそ、今年の通知表の付き方を見て「来年はこう動こう」と作戦を立てることに意味があります。分布が毎年激しく入れ替わるなら、過去の傾向は参考になりませんが、これだけ安定しているなら、観点別評価のどこで落としやすいかを見極めるほうが現実的です。
もう一点、この調査の読み方で気をつけたいのは、割合はあくまで都全体の集計だということです。622校をまとめた数字ですから、学校ごとに見ればばらつきがあります。そのばらつきの中身は公表資料を見ればわかりますが、この記事では扱いません。大事なのは、都全体で5が1割強、1が数%という分布の中で、自分の評定がどこに位置するかを知ることです。5が付くのが特別なことではないと同時に、誰にでも付くものでもない。その両方を踏まえて、4を5に上げるのか、3を4に上げるのか、優先順位を決めていきます。
学期ごとに、何を積むか
内申点は学期の終わりに決まるのではなく、学期の間に積み上がります。観点別評価は、知識・技能、思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度の3つの観点で行われ、それが評定にまとまる仕組みです。定期考査の点数が同じでも、提出物の出し方や授業中の取り組み方で評定が変わるのは、この観点の部分が効いているからです。
3つの観点を、平たく言い換えておきます。知識・技能は、用語や公式を覚えていて、基本的な問題を解けるか。思考・判断・表現は、覚えた知識を使って、初めて見る問題や説明を求める問題に答えられるか。主体的に学習に取り組む態度は、提出物を期限どおりに出し、授業中の活動に参加しているか。定期考査の点数が主に効くのは前の2つで、3つ目は日々の行動で決まります。評定が伸びないお子さまの多くは、この3つ目で落としています。テストは悪くないのに評定が3止まり、というときは、まず提出物の記録を疑ってください。
学期ごとに見る場所を分けておくと動きやすくなります。1学期は、提出物の期限を守る型を作る学期です。ワークやノートの提出が遅れがちなお子さまは、期限の前日にまとめてやるのではなく、授業のあった日にその教科の分を少しだけ進める形に変えてみてください。2学期は、定期考査の結果を観点に結びつける学期です。点数が取れているのに評定が伸びないなら、それは知識・技能は足りていて、思考・判断・表現か取り組みの観点で落としている可能性があります。3学期は、私立の推薦や都立の推薦を考えるご家庭にとっては、1年と2年の評定がすでに確定していることを意識する学期です。
月ごとに落とすと、こうなります。4月は、各教科の年間の見通しと提出物の一覧を集める月です。教科の先生が最初の授業で言った評価の説明は、たいてい年間を通じて効きます。5月は、最初の定期考査に向けて、提出物の第1回を確実に出す月です。6月は、考査の結果が返ってきたら、点数だけでなく観点の欄を見る月です。7月は、1学期の通知表を開いて、3つの観点のどこに低い印が付いているかを確認します。夏休みは、1学期に落とした観点を2学期の最初の提出物で回収する準備に充てます。9月は2学期の提出物の一覧を更新し、10月から11月は考査のたびに観点を確認、12月は2学期の通知表で1学期からの変化を見る。1月から3月は、3年生なら出願と検査の時期ですから、評定を動かすというより、確定した数字で志望校を決める段階に入ります。
提出物の話でよくあるのは、期末考査のあとに「ワークを出していない」と言われて初めて気づく場面です。テストが終わった直後の教室で、友達が提出袋を出しているのを見て青くなる。あの瞬間を減らすには、学期の初めに各教科の提出物と期限を1枚の紙に書き出しておくだけで足ります。お子さま自身に書かせるのが大事で、保護者が代わりに書くと、本人の頭に残りません。
もう一つのよくある誤解は、「定期考査の点数さえ取れば評定は上がる」というものです。観点別評価が3つに分かれている以上、テストの点数は評定の一部を決めるにすぎません。テストで80点を取っていても、提出物が未提出なら、主体的に学習に取り組む態度の観点が下がり、評定が4に届かないことがあります。逆に、テストが60点台でも、提出物をすべて期限どおりに出し、授業中の発言やノートの書き方を丁寧にしていれば、評定が4に届くこともあります。点数と評定は連動しますが、同じものではありません。この違いを親子で共有しておくと、テストの点数が思わしくなかった回でも、次に何をすればよいかが見えます。
換算内申を自分で計算してみる
通知表が返ってきたら、換算内申を自分で計算してみてください。手順は3つだけです。まず、5教科(国語・数学・英語・社会・理科)の評定を足します。次に、4教科(音楽・美術・保健体育・技術家庭)の評定を足して2倍します。最後にその2つを足すと、65点満点の換算内申になります。
例を出します。5教科が4・4・3・3・3、4教科が4・3・3・3だったとします。5教科の合計は4+4+3+3+3で17。4教科の合計は4+3+3+3で13、これを2倍して26。17+26で43点です。65点満点の43点は、7:3の学校の調査書点300点に直すと、43÷65×300でおよそ198点になります。オール3の39点(180点)と比べると、18点ほど高い計算です。この18点を学力検査で埋めようとすると、700点満点のうちの18点、1教科あたりに直すと数点分に相当します。実技4教科を1つずつ上げるだけで、この差が生まれると考えると、どこに力を入れるべきかが見えてきます。
計算するときの注意点が2つあります。1つは、評定は整数ですから、換算内申も必ず整数になることです。小数が出たら計算を間違えています。もう1つは、5教科と4教科を混ぜて足さないことです。9教科の評定を単純に足すと、65点満点ではなく45点満点の数字になり、意味が変わります。塾や学校の面談で「内申が足りない」と言われたとき、それが45点満点の素点の話なのか、65点満点の換算の話なのかを確かめてください。同じ「内申」という言葉でも、指している数字が違うことがあります。
計算した換算内申は、志望校の比率に当てはめて初めて意味を持ちます。7:3の学校なら300点に拡大します(10:0で計算する場合、調査書点は使いません)。志望校が決まっているご家庭は、その学校の比率を確認したうえで、換算内申を当てはめてみてください。まだ決まっていない場合は、7:3を仮に置いて計算しておくと、自分の位置がつかめます。
武蔵境から通う家庭へ
武蔵野市立第一中学校は中町にあり、武蔵境の教室から通うご家庭も少なくありません。校舎の改築が進んでいる時期ですので、通学路や学校行事の連絡は学校と市の公表資料をこまめに見てください。
内申点の話は、どうしても数字の上下に目が行きます。ただ、換算内申65点のうちのどこが足りていないかは、通知表の評定を並べれば見えてきます。5教科の評定と4教科の評定を分けて書き出し、2倍になる4教科のどこが伸びしろかを探す。それだけで、次の学期に力を入れる教科の順番が決まります。都立入試の調査書点は、この積み上げの上に乗っています。
最後に、保護者の方がやりがちな失敗を1つ挙げておきます。通知表を見て、評定の低い教科を並べ、「この教科を何とかしなさい」と叱って終わるパターンです。お子さまは、どの観点で落としているかまでは見ていませんから、叱られても次の行動がわかりません。評定の数字ではなく、観点の欄を一緒に見て、「ここが空欄になっているね」と指さすところから始めてください。空欄や低い印の理由は、提出物なのか、授業中の活動なのか、テストなのか。そこが特定できれば、次の学期にやることは1つか2つに絞れます。
当塾では、入塾の前にカウンセリングの時間を取っています。通知表を持ってきていただければ、どの観点で落としているかを一緒に見るところから始めます。