武蔵野市立第二中学校の内申点事情

通知表を開いた夜の話

学期末の通知表を、リビングのテーブルでお子さまと一緒に開く。よくあるのは、その場で「5」と「3」の数だけを数えて、ため息をついてしまう場面です。数字そのものより、その数字が都立入試のどこに効いてくるのかを見ないまま終わってしまうのが、いちばんもったいない。武蔵野市立第二中学校に通うご家庭からも、同じような相談をよく受けます。この記事では、第二中の基本情報を確認したうえで、内申点が都立入試でどう計算されるのか、都全体の評定はどんな分布なのか、学期ごとに何を動かしていけばよいのかを順に整理します。

武蔵野市立第二中学校の基本

武蔵野市立第二中学校は、武蔵野市立の中学校の一つです。武蔵野市立の中学校は第一から第六までの6校で、第二中はその2番目にあたります(市の公表資料より)。

所在地は武蔵野市桜堤1-7-31です(市の公表資料より)。2020年4月以降の新入学者から、境2丁目22番の一部の学区が第二中学区から第六中学区に変更されています(市教育委員会の公表より)。学区の境目は動くことがあるので、住所で通学先を確かめたいときは、市の学区域マップで最新の割り振りを見ておくのが確実です。

学校の評定の付き方や先生の評価の傾向については、公表された実測を手元に持っていません。だからこの記事では、第二中固有の内申の付きやすさには触れません。代わりに、どの市立中に通っていても共通の「都立入試での内申点の使われ方」と、都全体で公表されている評定の分布を土台に話を進めます。学校ごとの差を想像で埋めるより、共通のルールを正確に押さえるほうが、ご家庭の判断には役に立ちます。

内申点は都立入試でどう効くか

1000点満点のうち調査書は300点

東京都の一般入試(第一次募集・分割前期)は、学力検査の得点と調査書点の合計が1000点満点です。学力検査と調査書の比率が7:3の学校なら、学力検査700点・調査書300点という配分になります(東京都教育委員会の令和9年度入学者選抜実施要綱より)。

ここにESAT-Jの結果が加わります。A20点・B16点・C12点・D8点・E4点・F0点で、合計は1020点満点になります(同要綱より)。英語のスピーキングテストの結果が、調査書とは別枠で上乗せされる形です。

一部の学校は「7:3で計算した点数」と「10:0(学力検査のみ1000点)」の両方を計算し、高いほうを採用します。令和9年度にこの方式の対象として公表されたのは北園高校と武蔵野北高校です(都教委の2026年9月17日公表資料および報道より)。武蔵野市から通える範囲の高校が名を連ねているので、志望校を考えるときはこの方式に当たるかどうかを確認しておきたいところです。

第二次募集は6:4と10:0の高いほうを使います(同要綱より)。

換算内申は65点満点

調査書点のもとになるのが換算内申です。学力検査を実施する5教科(国語・数学・英語・社会・理科)の評定に1を掛け、実施しない4教科(音楽・美術・保健体育・技術家庭)の評定に2を掛けて足し合わせます。満点は65点です(同要綱より)。

5教科は1倍、実技4教科は2倍。この非対称が、内申点の設計の肝です。主要5教科の評定を1つ上げても換算内申は1点しか動きませんが、実技4教科の評定を1つ上げると2点動きます。通知表の数字を並べたときに、実技教科の「3」が目に入りやすいのは、この倍率のためでもあります。

ここで一度、言葉の整理をしておきます。「内申点」という言葉は、通知表の評定をそのまま足した素点の意味でも、換算内申の意味でも、調査書300点に直したあとの点数という意味でも使われます。塾や学校の先生が話しているとき、どの段階の数字を指しているのかで、同じ「内申」でも値がまったく違います。ご家庭で数字を共有するときは、「素点の合計」「換算内申」「調査書点」のどれなのかを一言添えると、話がかみ合います。

計算を1回、具体の数で

数字の感覚をつかむために、一度だけ計算してみます。素点は5の倍数、換算内申は13の倍数になるように置きます。

例として、5教科の評定がすべて「4」、実技4教科の評定もすべて「4」だとします。5教科は4×5=20点、実技4教科は4×4×2=32点で、換算内申は52点です。65点満点のうち52点。ここから調査書300点に換算するときは、52÷65×300=240点になります。

別の例で、5教科はすべて「4」のまま、実技4教科をすべて「5」にしてみます。5教科20点、実技4教科は5×4×2=40点で、換算内申は60点。調査書点は60÷65×300で、約277点です。実技4教科を1段上げただけで、調査書点が37点ほど動く計算になります。学力検査1問の重みとは桁が違うことが、この2つの例を並べると見えてきます。

もう一歩だけ進めます。実技4教科のうち1教科だけを「4」から「5」に上げた場合はどうか。換算内申は52点から54点に動き、調査書点は54÷65×300で約249点。1教科の1段で、およそ9点です。4教科すべてを上げたときの37点と比べると見劣りしますが、学力検査の1問が何点かを思えば、9点は十分に大きい。実技4教科は、まとめて上げるものでも、1教科ずつ拾うものでも、どちらでも効きます。

そして、この計算には上限があります。換算内申が65点に届けば調査書点は300点で頭打ちです。逆に、どれだけ実技を上げても、5教科の評定が低いままだと換算内申は伸びません。5教科20点・実技40点の60点と、5教科25点・実技32点の57点では、前者のほうが上です。実技だけを追うのではなく、5教科の評定も1点ずつ積む。当たり前に見えて、この配分を意識している家庭は多くありません。

もちろん、これは計算の仕組みを示すための例です。お子さまの評定がこの形に当てはまるという話ではありません。大事なのは、実技4教科の1段が2点分として効くという構造を、保護者の側が先に知っておくことです。

都全体の評定はどんな分布か

東京都教育委員会は「都内公立中学校第3学年等の評定状況の調査結果」を公表しています。令和7年12月31日現在の調査で、対象は都内公立中学校等622校です(2026年3月公表)。前年調査の結果も合わせて公表されています。

例として示されている値を見ます。国語の評定「5」の割合は12.2%で、前年調査は12.3%でした。数学の評定「1」の割合は5.9%で、前年は6.1%です(いずれも都教委の公表資料より)。

国語の「5」がおよそ8人に1人。数学の「1」がおよそ17人に1人。この2つの数字だけでも、評定の分布が教科によって形を変えていることがわかります。逆に言えば、数学で「5」を取る難しさと、国語で「1」を取ってしまう珍しさは、同じ土俵では語れません。

この分布の読み方で、よくある誤解を2つほど挙げておきます。1つ目は、「国語の5が12.2%なら、どの学校でも5人に1人弱が5を取っている」と考えること。これは都全体をまとめた割合であって、学校ごとの割合ではありません。母数の違う数字を自分の学校にそのまま当てはめると、判断を誤ります。

2つ目は、「数学の1が5.9%しかいないなら、数学は1が付きにくい教科だから安心」と考えること。割合が小さいのは、1に届かない人が多いという意味であって、自分の子が1にならない保証ではありません。むしろ、1が付く層が薄いということは、そこに落ちたときの影響が相対的に大きいとも言えます。割合の数字は、安心材料ではなく、分布の形を知るための材料です。

学校別の評定割合も都教委は公表していますが、この記事では第二中の数値には触れません。手元に第二中の実測がない以上、学校差を断定する材料にはならないからです。都全体の分布を頭の片隅に置きながら、お子さま自身の通知表を前学期と比べる。その使い方が、公表データのいちばん堅実な活かし方だと考えています。

学期ごとに何を動かすか

定期考査の点数だけでは評定にならない

評定は、定期考査の点数だけで決まるものではありません。観点別評価という枠組みがあり、知識・技能、思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度といった観点ごとに評価が積み上がります。定期考査が取れていても、提出物の遅れや授業中の取り組みの記録が薄いと、評定が伸びきらないことがあります。

逆に、定期考査の点数が伸び悩んでいても、提出物を期限内にきちんと出し、授業で手を挙げて発言する。そうした積み重ねは、観点別評価の材料になります。内申点は、テストの1日で決まるのではなく、学期を通した記録の集計だと考えておくほうが実態に近いです。

観点別評価という言葉は、通知表の教科の欄の下に小さく並んでいる記号のことを指します。知識・技能が取れているのに思考・判断・表現が伸びていないのか、それとも主体的に学習に取り組む態度の欄が低いのか。どの観点が足を引っ張っているかで、次にやることは変わります。テストの点数だけを見て「この教科はダメだ」と決める前に、観点の欄を1つずつ目で追ってみてください。同じ「3」でも、中身は教科ごとに違います。

1学期・2学期・3学期の役割

1学期は、新しい学年の評価の基準に慣れる期間です。最初の定期考査の結果を見て、どの教科で何が足りていないかを確認します。提出物の出し方や授業ノートの取り方も、この学期のうちに型を作っておくと、後の学期が楽になります。

1学期にやっておきたいのは、通知表のコピーを取っておくことです。前学年の最後の通知表と、新しい学年の1学期の通知表を並べると、どの教科のどの観点が動いたかが見えます。評定の数字だけを追うと見落とす変化が、観点の欄には残っています。1学期のうちは評定がまだ動きにくい時期なので、数字の上下より、観点の記録が付いているかどうかを見るほうが実りがあります。

2学期は、評定の材料が最も厚くなる学期です。定期考査が複数回あり、提出物も重なります。ここで実技4教科の取り組みを落とすと、換算内申で2倍の重みがついてきます。音楽・美術・保健体育・技術家庭の授業での作品や実技の記録は、主要5教科のテスト勉強に押されて後回しになりがちです。2学期の初めに、実技4教科の提出物の締め切りをカレンダーに書き出しておく。それだけで、期末の慌ただしさが変わります。

2学期の半ばは、進路の話が家庭でも増えるころです。面談の前に、お子さまの通知表と、塾や家庭で見ている課題のメモを突き合わせておくと、先生に聞くことが絞れます。「この観点が低いのは、何が足りないからですか」と具体的に聞けるかどうかで、面談で持ち帰れる情報量は変わります。評定の上げ方を先生に聞くのではなく、足りない材料を先生に確かめる。順番はそこです。

3学期は、学年のまとめであると同時に、入試の年なら最後の評定が出る学期です。東京都の令和9年度入試では、推薦の出願が1月8日から1月18日、検査が1月26日と27日、発表が2月2日です。第一次募集の出願は1月29日から2月4日、学力検査は2月21日、発表は3月1日。インフルエンザ等の追検査は3月9日で、発表は3月12日です(都教委の公表資料および報道発表より)。出願はインターネット経由で行われます。

この日程を見ると、3学期の評定が入試に間に合うのかという不安が出てくるかもしれません。評定の扱いと出願の時期の関係は、通っている学校の説明と都教委の要綱で確かめるのが確実です。憶測で動かず、学校の進路指導の先生に確認しておくべき事項です。

3学期の過ごし方で、もう1つ意識しておきたいのは、入試の直前でも学校の授業と提出物は続くということです。受験勉強を優先したい気持ちは自然ですが、3学期の評定も記録として積まれます。推薦を考えているご家庭なら、なおさらです。入試の日程と学校の提出物の締め切りを同じカレンダーに載せて、どちらも落とさない組み方を、年明け前に一度考えておくとよいです。

実技4教科を後回しにしない

換算内申の構造を踏まえると、実技4教科の評定は軽く見てはいけません。主要5教科の勉強に追われて実技の準備がおろそかになると、換算内申では2倍の重みで響きます。逆に、実技4教科で1段上げられれば、調査書点は大きく動きます。

よくあるのは、期末考査の前に主要5教科のワークだけを開いて、美術の作品の仕上げと技術家庭のレポートが手つかずのまま前日を迎える場面です。実技4教科の課題は、テスト勉強のように一夜漬けが効きません。作品は時間をかけて仕上げる必要があり、実技の記録も授業の積み重ねで決まります。2学期の頭に、実技4教科の課題の締め切りを先に押さえておく。それが、換算内申を守る最短の道です。

実技4教科の動き方には、教科ごとの癖があります。音楽なら歌唱や器楽の実技と鑑賞の記録、美術なら作品の完成度と制作過程、保健体育なら実技の達成と保健の筆記、技術家庭なら作品とレポートの両方。どれも、当日いちどきに取り返せるものではありません。逆に言えば、学期の初めに「この学期は何を提出するのか」を教科ごとに書き出しておけば、主要5教科のテスト期間と重ならないように逆算できます。実技4教科が苦手なお子さまほど、この逆算の効果は大きいです。

武蔵境から通う家庭へ

武蔵野市立第二中学校は桜堤にあり、武蔵境から通うご家庭も少なくありません。学区の変更があったように、通学先の区切りは制度の側で動きます。だからこそ、住所の確認と、入試のルールの確認は、年度の早い時期に済ませておくのが安心です。

内申点の話をしていると、評定の数字そのものに気持ちが引っ張られます。ただ、換算内申65点・調査書300点という配分を知っておくと、どの教科の1段がどれだけ効くのかを、自分の目で計算できるようになります。通知表を開いた夜に、数字を数えるだけで終わらせず、計算の構造まで一緒に確かめてみてください。当塾では、入塾前のカウンセリングで、お子さまの通知表の読み解き方から一緒に整理しています。