武蔵野市立第六中学校の内申点事情
通知表を開いた台所で
学期の終わり、通知表を開いた台所で、保護者の方が先に黙ってしまう場面があります。お子さまは「今回はここが上がった」と得意げなのに、大人の目は数字の並びの下のほうへ行ってしまう。武蔵野市立第六中学校に通うご家庭からも、そういう話を聞きます。内申点という言葉は、この瞬間にいちばん重くなります。
ただ、内申点は通知表の数字を眺めて一喜一憂するためのものではありません。都立高校の入試では、この数字が決まった点数に換算され、学力検査の得点と合算されます。仕組みを知らないまま数字だけを見ていると、上げるべき場所と上げ方が見えません。この記事では、第六中学校の基本情報を確認したうえで、内申点が都立入試でどう効くのか、都全体の評定はどんな分布なのか、学期ごとに何を動かすのかを順に整理します。
武蔵野市立第六中学校の基本
武蔵野市立第六中学校は、武蔵野市立の中学校の一つです。武蔵野市立の中学校は第一から第六までの 6 校で、第六中学校はその 6 番目にあたります(市の公表資料より)。
所在地は武蔵野市境3-20-10です(市の公表資料より)。また、特別支援学級(いとすぎ学級)の拠点校でもあります(市の公表資料より)。通学区域の町名の割り振りについては、市の学区域マップで確認できます。境という地名から武蔵境駅周辺を思い浮かべる方も多いと思いますが、どの町名が第六中学校の区域に入るかは、市の学区域マップで確かめるのが確実です。
ここで一つ、はっきりさせておきたいことがあります。第六中学校の評定が付きやすいか厳しいか、という学校ごとの傾向は、公表された実測の数値が手元にありません。したがってこの記事では、学校別の評定割合には触れません。触れられるのは、東京都全体の調査結果と、都立入試の換算の仕組みです。この二つだけで、ご家庭がやることは十分に見えてきます。
内申点は都立入試でどう効くか
都立高校の一般入試(第一次募集・分割前期)は、学力検査の得点と調査書点の合計が 1000 点満点です(東京都教育委員会の令和9年度入学者選抜実施要綱より)。比率が 7:3 の学校なら、学力検査が 700 点、調査書が 300 点。ここに ESAT-J の結果が加わります。A で 20 点、B で 16 点、C で 12 点、D で 8 点、E で 4 点、F で 0 点です。つまり 1020 点満点の勝負になります。
調査書点 300 点の内訳が、いわゆる内申点です。都立入試では、学力検査を実施する 5 教科(国語・数学・英語・社会・理科)の評定を 1 倍、実施しない 4 教科(音楽・美術・保健体育・技術家庭)の評定を 2 倍して合計します。5 教科は 5 段階×5 教科で 25 点、4 教科は 5 段階×2 倍×4 教科で 40 点。合わせて 65 点満点。これが換算内申と呼ばれるものです。
換算内申の計算を一度、数で見る
言葉だけだと実感がわかないので、具体的な評定で計算してみます。まず、オール 3 の生徒を考えます。5 教科は 3×5 で 15 点、4 教科は 3×2×4 で 24 点。合計 39 点です。これが換算内申 39 点。オール 4 なら 5 教科が 20 点、4 教科が 32 点で 52 点。オール 5 なら 25 点と 40 点で 65 点、満点です。
ここで、主要 5 教科がオール 4、実技 4 教科がオール 3 の生徒を比べてみます。5 教科は 4×5 で 20 点、4 教科は 3×2×4 で 24 点、合計 44 点。逆に、主要 5 教科がオール 3、実技 4 教科がオール 4 なら、5 教科は 15 点、4 教科は 32 点で合計 47 点になります。主要教科が 1 段階高いのに、実技が 1 段階低いだけで、換算内申は 3 点も低くなる。これが 2 倍の重みの正体です。
もう一つ、実技 1 教科だけを動かす例を見ます。音楽の評定が 3 から 4 に上がると、換算内申は 2 点上がります。同じ 1 段階でも、国語が 3 から 4 に上がったときは 1 点です。実技 1 教科の 1 段階は、主要教科 2 教科分に相当する。この非対称を頭に入れておくだけで、学期の力の配り方が変わります。
65 点が 300 点に拡大される
65 点満点ということは、1 つの評定が動くと換算内申は 1 点か 2 点動きます。主要 5 教科の 1 なら 1 点、実技 4 教科の 1 なら 2 点です。この 65 点が、7:3 の学校では 300 点満点の調査書点に拡大されます。単純に比例させると、換算内申 1 点は調査書点およそ 4.6 点。実技教科の評定が 1 つ上がるだけで、学力検査の 1 問に近い重みになる計算です。
ここで大事なのは、実技 4 教科の 2 倍という扱いです。5 教科は 1 倍なので、主要教科の評定を 1 つ上げても換算内申は 1 点しか動きません。ところが音楽・美術・保健体育・技術家庭は 2 倍です。この 4 教科を「副教科」と呼んで後回しにするご家庭がありますが、都立入試の計算上は副教科のほうが 1 つあたりの影響が大きい。この事実を知っているだけで、学期の過ごし方は変わります。
なお、一部の学校は 7:3 と 10:0(学力検査のみ 1000 点)の両方を計算して高いほうを使います。令和9年度にこの方式の対象として公表されたのは北園高校と武蔵野北高校です(都教委の 2026-09-17 公表資料より)。武蔵野市から通える範囲の高校が名を連ねているので、志望校を考えるときに一度は目にすることになるでしょう。第二次募集は 6:4 と 10:0 で高いほうを使います。
令和9年度の日程
令和9年度の日程も確認しておきます。推薦の出願は 1 月 8 日から 1 月 18 日、検査は 1 月 26 日(火)と 27 日(水)、発表は 2 月 2 日(火)。第一次募集の出願は 1 月 29 日から 2 月 4 日、学力検査は 2 月 21 日(日)、発表は 3 月 1 日(月)。インフルエンザ等の追検査は 3 月 9 日で、発表は 3 月 12 日です。出願はインターネット経由で行われます(都教委の公表資料より)。
日程を見てわかるのは、3 年生の 2 学期の評定が確定したあと、入試本番までに残される時間が短いということです。1 月に出願があり、2 月 21 日に学力検査。2 学期の通知表が出た時点で換算内申はほぼ固まっています。だからこそ、1 学期と 2 学期の過ごし方が勝負になります。
都全体の評定はどんな分布か
学校別の評定割合も都教委が公表していますが、この記事では都全体の実測だけを使います。東京都教育委員会の「都内公立中学校第3学年等の評定状況の調査結果」(令和7年12月31日現在、2026年3月公表)によると、調査対象は都内公立中学校等 622 校です。
例として公表されている値を見てみます。国語の評定「5」の割合は 12.2% で、前年調査は 12.3% でした。数学の評定「1」の割合は 5.9% で、前年は 6.1% です。この 2 つの数字からわかるのは、評定「5」はおよそ 8 人に 1 人、「1」はおよそ 17 人に 1 人という規模だということです。クラスに 1 人は「5」が付く子がいて、「1」が付く子は数クラスに 1 人。そういう粒度で分布しているのだと理解しておくと、通知表の数字を必要以上に重く受け止めすぎることも、軽く見ることもなくなります。
前年とほぼ同じ水準で推移している点も見逃せません。国語の「5」は 12.3% から 12.2% へ、数学の「1」は 6.1% から 5.9% へ。大きく動いていません。つまり、ある年度だけ極端に甘い、厳しいということは都全体では起きていない。評価の付け方は、各学校の先生が観点別評価に沿って積み上げるもので、年度によって大枠がひっくり返るものではないということです。
数字の読み方でよくある誤解
この分布をめぐって、ご家庭でよく起きる誤解を 3 つ挙げておきます。
1 つ目は、「5 は 12.2% しかいないから、取れたらすごい」と捉えすぎる誤解です。12.2% は都全体の国語の「5」の割合であって、わが子の学校やクラスの割合ではありません。学校ごとの数値は公表されていないので、この数字を自分の学校に当てはめて「うちのクラスなら何人」と計算しても意味がありません。
2 つ目は、「数学の『1』が 5.9% なら、うちの子は大丈夫」と安心してしまう誤解です。5.9% は都全体の平均的な水準であって、個人が「1」を取らない保証ではありません。分布の話と個人の評定は別物です。
3 つ目は、「前年とほぼ同じだから、今年も同じように付けられる」と決めつける誤解です。都全体の傾向が安定していることと、個々の生徒の評定が安定していることは違います。観点別評価のどこが埋まっていないかは、自分の通知表でしかわかりません。
だからこそ、できることははっきりしています。学校差や先生の当たり外れを読むのではなく、観点別評価のどこが埋まっていないかを自分の通知表で確かめる。これが現実的な作戦になります。
学期ごとに何を動かすか
内申点は 3 年生の 2 学期までの評定で決まる、とよく言われます。調査書にどの時期の評定が載るかは、在籍する中学校の説明で確かめてください。3 年生の後半に慌てても間に合わない、という意味では、この言い方は実感に合っています。では学期ごとに何を動かせばよいのか。
第一に、定期考査の点数です。評定は知識・技能、思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度という観点別評価の積み上げで付きます。定期考査は主に知識・技能と思考・判断・表現の材料になります。ここが取れていないのに態度だけを気にしても、評定は動きません。逆に、考査で点が取れているのに提出物が抜けていると、態度の観点が埋まらず評定が伸びない。両方そろって初めて上がります。
第二に、提出物です。ワーク、ノート、レポート、実技教科の作品。これらは期限どおりに出ているか、やり直しの指示に応えているかが見られます。実技 4 教科は 2 倍で効くので、作品や実技テストの提出が遅れるだけで換算内申が 2 点動く可能性があります。主要 5 教科の 1 点より重いのです。
第三に、授業中の動きです。挙手や発言、グループ活動での関わり、振り返りシートの記入。これらは態度の観点の材料になります。テストの点が同じでも、ここが埋まっているかどうかで評定が分かれることがあります。
1 学期にやること
1 学期は、年間の評価の土台が決まる時期です。最初の定期考査は範囲が狭く、中学 1 年生なら小学校との違いに慣れるだけで精一杯というご家庭も多い。ですが、この時期にやっておくと後が楽になることが 3 つあります。
1 つは、各教科の提出物の出し方のルールを把握することです。ワークはどこまでやって出すのか、ノートは毎回提出か単元ごとか、実技教科の作品はいつ締め切りか。教科ごとに違うので、学期の初めに一覧にしてしまうのが早い。2 つ目は、観点別評価の 3 つの観点が何を指すかを、通知表の様式で確認することです。3 つ目は、実技 4 教科の授業で何が評価されるかを、最初の授業で聞いておくこと。作品の完成度なのか、授業中の取り組みなのか、実技テストの記録なのか。これを知らずに 2 学期を迎えると、作品づくりが一夜漬けになります。
2 学期にやること
2 学期は、3 年生にとっては評定がほぼ固まる学期です。定期考査や実技教科の提出物が、この学期に重なります。ここで大事なのは、考査と提出物の締め切りが重なる週をあらかじめ把握しておくことです。主要 5 教科の考査対策に追われて実技の作品が間に合わない、というのがいちばん多い失敗の形です。
実技 4 教科は 2 倍で効くので、2 学期の実技の提出物は、主要教科の小テストと同じくらいの優先度で予定に入れる。これが 2 学期の合言葉になります。作品の制作は前倒しで進め、考査の 1 週間前には手を付けない状態にしておく。そうすれば、考査の勉強時間を削らずに実技の評定も守れます。
3 学期にやること
3 年生の 3 学期は、入試の直前です。都立の一般入試は 2 月 21 日、推薦の検査は 1 月 26 日と 27 日。3 学期の評定は入試の調査書には間に合わないので、ここでの内申対策は意味が薄い。代わりにやることは、出願の準備と、学力検査の対策です。出願はインターネット経由なので、保護者の方が手続きの流れを早めに確認しておくと安心です。
1・2 年生の 3 学期は違います。この学年の評定は翌年度の調査書に積み上がるので、3 学期の通知表も意味があります。学年の締めくくりとして、1 年間の提出物の抜けを最後に確認する。これだけで翌年度のスタートが変わります。
よくあるつまずき
学期の動き方で、ご家庭からよく聞くつまずきを挙げておきます。
1 つは、考査の点数だけを見て「評定は上がるはず」と思い込むことです。観点別評価は 3 つの観点の積み上げなので、考査が良くても提出物が抜けていれば評定は伸びません。答案が返った日に、点数と一緒に提出物の状況を確認する習慣があると、このずれは防げます。
2 つ目は、実技教科を「センスの問題」と諦めることです。実技の評定は、作品の出来だけでなく、授業中の取り組みや提出の確実さでも評価されます。センスが問われる部分は一部で、期限どおりに出す、指示どおりに直すという部分は誰でも動かせます。2 倍で効く教科だけに、ここを落とすのはもったいない。
3 つ目は、通知表の数字だけを見て観点の欄を読まないことです。評定の横にある観点別の A・B・C の並びを見れば、どこが埋まっていないかがわかります。数字は結果、観点は原因。原因を見ずに結果だけを眺めても、次の学期の動き方は決まりません。
よくあるのは、期末考査の答案が返ってきた日に「今回は数学が上がった」と喜んでいて、翌週の提出物チェックでワークの丸付けが 3 ページ抜けていたとわかる場面です。点数は取れているのに評定が上がらない原因は、たいていこの抜けです。答案より先に、提出物の一覧を確認する。学期の終わりにこれをやるかどうかで、次の通知表は変わります。
武蔵境から通う家庭へ
第六中学校は境にあり、武蔵境駅から通うご家庭にとっては身近な学校です。特別支援学級の拠点校でもあるので、支援が必要なお子さまの進路を考えるご家庭にとっては、早い段階で相談できる窓口がある学校だと言えます(市の公表資料より)。
内申点の話をすると、どうしても「上げるテクニック」を探したくなります。ですが、都立入試の仕組みを見ればわかるのは、換算内申 65 点のうち実技 4 教科が 40 点を占めるという事実です。主要 5 教科だけを必死に上げても、40 点の側が動かなければ全体は伸びません。逆に、実技教科の提出物と作品をきちんと整えるだけで、換算内申は数点動きます。学期の初めに、5 教科と 4 教科の両方の提出物カレンダーを 1 枚にまとめて壁に貼る。それだけで、期末の台所で黙り込む場面は減ります。
当塾では、入塾の前にカウンセリングの時間を取っています。通知表のどの観点が埋まっていないかを一緒に見るところから始めます。武蔵境から第六中学校に通うお子さまと、その保護者の方のための時間です。