武蔵野市立第三中学校の内申点事情

通知表を前にして、いちばん多い質問

吉祥寺東町の通りを挟んで、夕方になると制服の生徒が歩いていくのを見かけます。武蔵野市立第三中学校の生徒たちです。当塾に通ってくるお子さまの保護者さまと三者面談の前の廊下で立ち話をしていると、決まって出てくる言葉があります。「うちの子の内申、この数字で都立はどうなるんでしょうか」。

この質問に答えるには、まず通知表の数字が入試のどこで効くのかを知る必要があります。第三中学校の評定が特別に厳しいとか甘いとか、そういう話ではありません。都立入試の仕組みの側に、数字の読み方が決まっているのです。この記事では、第三中学校の基本情報を押さえたうえで、内申点が得点に変わる流れを順に追います。

武蔵野市立第三中学校の基本情報

武蔵野市立の中学校は第一から第六までの6校です。第三中学校はそのうちの1校で、所在地は武蔵野市吉祥寺東町1-23-8です(市の公表資料より)。公立の中学校として、武蔵野市の学区域に沿って通う学校になります。

学区域の町名の割り振りは、市の学区域マップで確認できます。第三中学校の通学区域にどの町が入るかは、年度によって動くことがあるため、住所が決まっているご家庭でも一度は市の資料で確かめておくと安心です。

ここで一つ、確認の順番についてお話ししておきます。進路の相談では「内申が足りない」という言葉が先に出がちですが、実際に確かめる順番は逆のほうが筋が通ります。まず志望校が決まっているなら、その学校の配点と募集の区分を調べる。次に、手元の通知表を換算内申に直してみる。最後に、足りない分をどの学期で拾うかを決める。この順番なら、数字を見て落ち込む時間が短くなります。通知表は答案用紙ではなく、これからの予定表として読むものです。

内申点は「換算内申65点」に姿を変える

都立高校の一般入試(第一次募集・分割前期)は、学力検査の得点と調査書点の合計が1000点満点です。比率が7:3の学校なら、学力検査が700点、調査書が300点という配分になります。ここにESAT-Jの結果(A20・B16・C12・D8・E4・F0点)が加わって、1020点満点になります(都教委の公表資料より)。

通知表の評定は、この調査書300点の中身になります。ただし5教科の評定をそのまま足すのではありません。都立入試では換算内申という計算をします。学力検査を実施する5教科(国語・数学・英語・社会・理科)の評定はそのまま1倍、実施しない4教科(音楽・美術・保健体育・技術家庭)の評定は2倍にして足し合わせ、65点満点に直すのです。

たとえば9教科の評定がすべて3だったとします。5教科は3×5で15、4教科は3×2×4で24、合計は39点。これが換算内申39点になります。オール4なら52点、オール5なら65点で満点です。実技4教科の1点は、5教科の1点の2倍の重さを持つ。ここが第三中学校に限らず、都立を目指すご家庭が最初に押さえるべき点です。

この計算は、慣れるまで少し時間がかかります。そこで、よくある組み合わせをいくつか並べてみます。

9教科の評定の例5教科の合計(×1)4教科の合計(×2)換算内申
オール3152439
5教科4・実技4教科3202444
5教科3・実技4教科4153247
オール4203252
5教科5・実技4教科4253257

表を見ていただくとわかるのは、5教科が伸び悩んでいても、実技4教科が4や5でそろえば換算内申は思ったより高い位置に来るということです。逆に、5教科が4でそろっていても、実技4教科が3で並ぶと44点にとどまります。通知表の見た目の印象と、換算内申の数字は一致しないことがある。だから一度、自分の9教科の評定をこの表の形に書き出してみることをおすすめします。

もう一つ、換算内申は13の倍数に近い数字が出やすいという性質があります。オール3なら39、オール4なら52、オール5なら65。これは5教科と4教科の比が1対2であることから来るもので、計算の検算にも使えます。出した数字が大きくずれていたら、どこかで2倍を忘れている可能性があります。

調査書300点はどう計算されるか

換算内申65点が、そのまま調査書300点になるわけではありません。都立入試では換算内申を300点満点に換算します。65点満点の値を300点に引き伸ばすイメージです。

計算の考え方はこうです。換算内申39点のお子さまであれば、39÷65×300で180点。換算内申52点なら52÷65×300で240点。換算内申が5点違えば、調査書点では約23点の差になります。学力検査700点の世界では1問の正誤が数点から十数点動くことを思えば、この差は小さくありません。

この「5点で約23点」という関係は、覚えておくと便利です。換算内申が1点動くと、調査書点はおよそ4.6点動く。実技4教科の評定が1つ上がれば換算内申は2点動きますから、調査書点では約9点の増になります。5教科の評定が1つ上がったときの約4.6点と比べると、実技の1段階がどれだけ大きいかが数字で見えます。ただし、これはあくまで配点の話です。実技の評定を上げるために定期考査の勉強を削っていいという意味ではありません。5教科の学力検査700点のほうが配分としては大きいのですから、両方を同じ学期の中で回していく計画が必要になります。

しかも令和9年度は、一部の学校が「7:3と10:0(学力検査のみ1000点)を両方計算して高い方を使う」方式を採ります。令和9年度にこの方式の対象として公表されたのは北園高校と武蔵野北高校です(都教委が2026年9月17日に公表、報道もありました)。この2校は、令和9年度からこの方式の対象として公表されています(都教委の公表より)。内申が伸びきらなかったお子さまでも、学力検査の得点次第で道が開ける仕組みが用意されているということになります。

第二次募集は6:4と10:0で高い方を使います。第一次募集で結果が出なかった場合の受け皿として、この配点も頭の隅に置いておくとよいでしょう。

ここで誤解を一つ訂正しておきます。「10:0の学校なら内申はまったく見られない」と受け取るご家庭がありますが、そう単純ではありません。7:3で計算した場合と10:0で計算した場合の両方を出し、高いほうを採用するという仕組みです。内申が十分に取れているお子さまは7:3の計算が活きる可能性があり、内申が伸び悩んだお子さまは10:0の計算で勝負できる。どちらの型にも備えるなら、結局は学力検査の対策を軸にしながら、提出物と授業態度で評定を落とさないという、基本の両輪に戻ってきます。

評定はどこで決まるのか

では、その換算内申のもとになる評定は、中学校でどう付くのか。ここは第三中学校に限った話ではなく、都全体の仕組みとして理解しておくのが確実です。

東京都教育委員会は「都内公立中学校第3学年等の評定状況の調査結果」を公表しています。令和7年12月31日現在の調査で、対象は都内公立中学校等622校。公表されている例では、国語の評定「5」の割合が12.2%(前年調査は12.3%)、数学の評定「1」の割合が5.9%(前年は6.1%)です(都教委の公表資料より)。

この数字からわかるのは、評定「5」がクラスの1割強、「1」がごく少数という分布です。つまり、多くのお子さまは3か4の間にいる。5を取るのは簡単ではないが、1を取るのも珍しい。通知表を開いた台所で「思ったより低い」とため息をつく場面はよくありますが、分布で見れば3や4は異常ではありません。大事なのは、そこで止まらずに、次の学期にどこを動かすかを決めることです。

国語の「5」が12.2%という数字は、40人のクラスに5人前後いる計算になります。つまり「5は一部の特別な子だけ」というわけでもありません。逆に、数学の「1」が5.9%というのは、40人なら2人いるかどうかという水準です。この2つの数字を並べると、評定の分布が中央に厚く、両端が薄い形をしていることが見えてきます。我が子の数字が3でも4でも、それは分布の真ん中にいるというだけのこと。そこから上に動かす余地は、どの学期にも残っています。

なお、学校別の評定割合も都教委は公表しています。第三中学校の数値が気になる場合は、そちらを直接確認するのが確実です。この記事では学校別の数値には触れません。手元に実測がない数字を並べても、判断の材料にはならないからです。

学期ごとに動かせるもの

評定は学期ごとに付きます。1学期、2学期、3学期と積み上がっていくわけですが、都立入試で使われるのは3年生の評定です。1・2年生の評定が直接使われるわけではありません。ただし、1・2年生で身につけた学習の習慣が3年生で突然変わることはありません。1年生のうちから「提出物を出す」「授業で手を挙げる」という基本動作を積んでおくことが、3年生での伸びにつながります。

観点別評価という言葉を聞いたことがあるかもしれません。評定は知識・技能、思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度という観点から総合して付きます。定期考査の点数が良くても、提出物が出ていなければ評定は上がりきらない。逆に、考査の点数が伸び悩んでいても、提出物と授業への取り組みが丁寧なら評定は維持できる。この構造を理解しているかどうかで、学期末の動き方が変わります。

よくあるのは、期末考査が終わった直後に「もう終わった」と気が緩み、提出物の締め切りを過ぎてしまう場面です。考査の答案が返ってくる前の1週間が、実は評定を守る最後のチャンスだったりします。

学年ごとに、意識するポイントは少しずつ変わります。1年生のうちは、提出物を期限どおりに出すことと、授業中に指名されたときに答えられる状態でいること。この2つが身につけば、評定の土台はできます。2年生になると、定期考査の範囲が広がり、部活動との両立が課題になってきます。ここで「考査前の2週間だけ集中する」という型を確立できるかどうかが分かれ目です。3年生の1学期は、評定が入試に使われる最後の学期になります。この学期は、提出物の一つひとつが直接調査書に響くという意識で動く必要があります。

月ごとに見ると、動き方はもっと具体的になります。4月は新しい学年の授業が始まり、最初の単元の理解がそのまま1学期の考査範囲になります。5月は連休のあとに授業のペースが上がる時期で、ここで予習の習慣が切れると6月の考査前に慌てることになります。6月は中間考査、7月は期末考査と、考査が続けてやってくる。夏休みに入る前に、1学期の提出物がすべて出し終わっているかを確認する。9月は2学期の始まりで、体育祭や文化祭の準備と授業が重なります。10月は中間考査、11月は期末考査。12月は考査が終わったあとの提出物の締め切りが残ります。1月から2月は3年生にとって最後の定期考査と、都立の出願・検査の時期が重なります。

この流れを見ると、学期末の考査が終わった直後の1週間が、毎学期くり返し訪れる正念場だとわかります。考査の答案が返ってくる前に、ノートやワークの提出を終える。当たり前に見えますが、ここを落とすお子さまが毎年います。逆に言えば、ここを守るだけで評定の下振れは防げます。

内申についてよくある誤解

最後に、相談の場でよく出る誤解をいくつか整理しておきます。

一つ目は「1・2年生の内申も合計される」という誤解です。都立の一般入試で使われるのは、3年生の評定です。1・2年生の評定が直接加点されるわけではありません。ただし、1・2年生の過ごし方が3年生の評定に影響するのは、習慣の面で確かです。1年生の通知表を「もう関係ない」と仕舞い込むのではなく、どの観点で数字が低かったかの記録として残しておくと、3年生で同じ轍を踏まずに済みます。

二つ目は「実技4教科はセンスで決まる」という誤解です。音楽・美術・保健体育・技術家庭の評定も、観点別評価の積み上げで付きます。実技の技能だけでなく、知識・技能、思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度の3観点が合わさって評定になります。つまり、実技が得意でなくても、ワークやレポート、授業への取り組みで補える部分があるということです。換算内申で2倍に効く4教科だけに、ここを取りこぼすのはもったいない話です。

三つ目は「定期考査の点数がすべて」という誤解です。考査の点数は知識・技能の観点に強く効きますが、それだけで評定が決まるわけではありません。考査で高得点を取っても、提出物が未提出なら評定は上がりきらない。この構造は、先ほど触れたとおりです。

四つ目は「内申が足りなければおしまい」という誤解です。令和9年度は北園高校と武蔵野北高校が7:3と10:0の高い方を採用します。学力検査の得点で挽回できる道が用意されている学校があるのです。もちろん、すべての学校がそうではありませんから、志望校ごとに配点を確かめる必要はあります。それでも、内申の数字だけを見て進路を諦める必要はないということです。

武蔵境から通う家庭へ

第三中学校は吉祥寺東町にあり、武蔵境からも通いやすい位置にあります。武蔵野市立の中学校は6校あり、それぞれに学区域がありますから、第三中学校に通うお子さまの進路先は多様です。都立の一般入試を考えるなら、換算内申65点のうち実技4教科が2倍で効くこと、調査書300点が換算内申から計算されること、そして北園高校・武蔵野北高校のように学力検査のみの配点も併用する学校があること。この3点を押さえておけば、通知表の数字をどう読むかの見当がつきます。

当塾では、入塾を決める前のカウンセリングで、お子さまの通知表と志望校の配点を並べて見るところから始めています。数字の読み方がわかると、学期の動き方も変わってきます。