武蔵野市立第四中学校の内申点事情
通知表を前にして、いちばん多い質問
武蔵境の教室で、三者面談の前の廊下に立っているお母さまと話すことがあります。手には通知表のコピーがあって、開く前から「今回はどうでしたか」と聞かれる。武蔵野市立第四中学校に通うお子さまの保護者さまであれば、この一枚が都立入試で何点になるのかは、早い段階で知っておいたほうがいい数字です。
結論から書くと、都立入試の一般入試(第一次募集・分割前期)は学力検査と調査書点の合計が 1000 点満点で、比率が 7:3 の学校なら調査書 300 点・学力検査 700 点。ここに ESAT-J の結果が加わって 1020 点満点になります(東京都教育委員会の公表資料より)。通知表の評定は、この 300 点の側に入ってくる。だから「5 がいくつ」という話ではなく、「換算内申がいくつになるか」で見る必要があります。
この記事では、第四中学校の基本情報を確認したうえで、内申が都立入試でどう点に変わるのか、都全体の評定はどんな分布なのか、学期ごとに何を動かすのかを順に整理します。
武蔵野市立第四中学校の基本
武蔵野市立第四中学校は、武蔵野市立の中学校の一つです。武蔵野市立の中学校は第一から第六までの 6 校があり、第四中学校はその 4 番目にあたります。所在地は武蔵野市吉祥寺北町5-11-41(市の公表資料より)。
学区域の町名の割り振りについては、ここでは書きません。学区の細目は市の学区域マップで確認できます。住所を見て「うちは入るのか」を判断したい場合は、市の資料で町名ごとに確かめるのが確実です。吉祥寺北町という住所から連想して通学区域を決めつけると、境目の町でずれることがあります。
なお、開校年について触れた資料もありますが、一次資料で確認できていないため、この記事では書きません。学校の沿革は学校の公式サイトで確認できます。
内申点は都立入試でどう効くか
換算内申は 65 点満点
都立入試の換算内申は、学力検査を実施する 5 教科の評定をそのまま(×1)、実施しない 4 教科(音楽・美術・保健体育・技術家庭)の評定を 2 倍して合計します。5 教科が 5 段階で 25、4 教科が 2 倍で 40。合計 65 点満点です(都教委の公表資料より)。
ここが最初のつまずきどころです。通知表の 9 教科の評定を単純に足すと 45 点満点になりますが、都立入試で使うのはその形ではありません。実技 4 教科の 1 が 2 点に、5 が 10 点になる。音楽が 3 なら 6 点、美術が 4 なら 8 点。この数え方に慣れていないと、わが子の内申が高いのか低いのか判断を誤ります。
たとえば 9 教科がすべて 3 だった場合、5 教科で 15、4 教科は 3×2 で 1 教科 6 点、4 教科で 24。換算内申は 39 点です。オール 4 なら 5 教科で 20、4 教科で 32、合計 52 点。オール 3 とオール 4 の差は 13 点あります。この 13 点が、7:3 の学校でどれくらいの意味を持つかは次の節で見ます。
換算内申は 65 点満点なので、1 点の重みが 9 教科の素点とは違います。実技 4 教科の評定が 1 つ上がると換算内申は 2 点上がる。この 2 点は、5 教科の評定が 1 つ上がったときの 1 点の倍です。通知表を眺めるとき、国語や数学の数字から先に目が行きますが、換算内申の合計を動かす力が大きいのは実技側です。まずは 9 教科を「5 教科×1」と「4 教科×2」の二つの列に分けて書き出すところから始めてください。
7:3 なら調査書 300 点
一般入試(第一次募集・分割前期)は、学力検査の得点と調査書点の合計が 1000 点満点です。比率が 7:3 の学校なら、学力検査 700 点・調査書 300 点。この 300 点に換算内申がどう反映されるかは、換算内申 65 点満点を 300 点に拡大して考えます。
換算内申 39 点は、300 点に直すと 39÷65×300 で 180 点。換算内申 52 点なら 52÷65×300 で 240 点。先ほどのオール 3 とオール 4 の差 13 点は、調査書点では 60 点の差になります。学力検査 700 点の世界で 60 点をひっくり返すのは簡単ではありません。1 教科あたり 100 点満点で、5 教科で 60 点。1 教科 12 点ぶんに相当します。
だから「当日で逆転」という言い方は、7:3 の学校では慎重に使うべきです。逆転が起きるのは、学力検査で大きく差をつけた場合です。内申が足りないぶんを当日で埋める設計にするなら、どの教科で何点取るのかを具体的に決めておく必要があります。
ここで一つ、計算の順序を確かめておきます。換算内申を出すときに、先に 300 点へ直してから差を考えると、数字が大きく見えて驚きます。39 点と 52 点の差は 13 点ですが、300 点の世界では 60 点。同じ差が、土俵が変わると 4.6 倍に見えるわけです。逆に、学力検査の 1 点は 700 点の世界でも 1 点のままです。内申の 1 点と学力検査の 1 点は等しくありません。この非対称を頭に置いておくと、模試の結果と通知表を並べたときに、どちらを先に動かすべきかが見えやすくなります。
ESAT-J と 1020 点満点
さらに、この 1000 点に ESAT-J の結果が加わります。A が 20 点、B が 16 点、C が 12 点、D が 8 点、E が 4 点、F が 0 点(都教委の公表資料より)。合計は 1020 点満点になります。
ESAT-J は中学校で受ける英語のスピーキングテストです。内申とは別枠ですが、合否を分ける最後の数点になることがあります。換算内申の計算と並んで、早めに把握しておきたい数字です。
A と C の差は 8 点。これは換算内申に置き換えると、実技 4 教科のどれかが 4 段階ぶん動くのと同じ大きさです。英語のスピーキングが一度のテストで決まることを考えると、内申を積み上げるのとは別の準備が要ります。日ごろの英語の授業で声を出す習慣があるかどうかが、そのまま結果に出やすいテストだと聞きます。
一部の学校は 10:0 も計算する
一部の学校は「7:3 と 10:0(学力検査のみ 1000 点)を両方計算して高い方」を使います。令和9年度にこの方式の対象として公表されたのは北園高校と武蔵野北高校です(都教委 2026-09-17 公表・報道あり)。武蔵野市・三鷹市から通える範囲の高校がここに入っています。
この方式の学校を受ける場合、内申が低くても学力検査が高ければ 10:0 の側で拾われる可能性があります。ただし、これは対象校が限られます。すべての都立高校に当てはまる話ではありません。志望校がこの方式かどうかは、都教委が公表する資料で確認してください。
第二次募集は 6:4 と 10:0 で高い方を使います。第一次で残念だった場合の動き方も、この仕組みを知っておくと判断が早くなります。
注意したいのは、10:0 の側があるからといって内申を捨ててよいわけではないという点です。7:3 の側でも計算され、高いほうが採用される。つまり内申が高ければ 7:3 の側で拾われる余地が残ります。二つの計算のうち片方だけをにらんで対策を決めるのではなく、両方を出して比べられる状態にしておくのが安全です。
評定の実測はどうなっているか
都全体の分布
東京都教育委員会は「都内公立中学校第3学年等の評定状況の調査結果」を公表しています。令和7年12月31日現在の調査で、対象は都内公立中学校等 622 校(2026年3月公表)。例として公表されている値を見ると、国語の評定「5」の割合は 12.2%(前年調査 12.3%)、数学の評定「1」の割合は 5.9%(前年 6.1%)です。
国語の「5」が 12.2% ということは、およそ 8 人に 1 人。「5」は特別な一部の子だけのものではなく、クラスに数人いる位置です。逆に数学の「1」は 5.9%、およそ 17 人に 1 人。これもゼロではありません。
この数字は都全体のものです。学校別の評定割合も都教委は公表していますが、第四中学校の数値はこの記事では扱いません。学校ごとの付き方の差について、手元に実測がないためです。都全体の分布を「うちの学校もこうだろう」と当てはめるのは避けてください。
前年調査との比較も見ておきます。国語の「5」は 12.3% から 12.2% へ、数学の「1」は 6.1% から 5.9% へ。いずれも 0.1〜0.2 ポイントの動きで、大きく変わったわけではありません。一年で分布が激変するものではない、という程度の読み方が妥当です。
数字からわかること
都全体で見ると、評定はきれいに半分に割れるわけでも、全員が 3 に寄るわけでもありません。「5」も「1」も一定の割合で存在する。つまり、通知表の評定は相対的な位置を含んでいます。
だから「うちの子は 3 ばかりで平均的」と安心するのも、「5 が一つもない」と落ち込むのも、少し早い。換算内申で見たときに、実技 4 教科がどうなっているかで合計は大きく動きます。国語と数学だけを見て一喜一憂するより、9 教科を換算内申の形に並べ替えて眺めるほうが、次の手を決めやすくなります。
もう一つ、この分布から言えるのは、評定は「取ろうとして取れる層」と「取れない層」に分かれているわけではないということです。国語の「5」が 8 人に 1 人いるということは、クラスの中に複数の「5」がいる状態です。誰か一人が独占しているわけではありません。であれば、今「4」の子が「5」に届く余地は、どのクラスにもある程度あると考えられます。逆に、今「5」の子が油断すれば落ちる余地もある。分布は固定した席ではなく、毎学期入れ替わりうるものとして見ておくほうが実態に近いと思います。
学期ごとに何を動かすか
定期考査の点数だけでは決まらない
通知表の評定は、定期考査の点数だけで決まるわけではありません。観点別評価が土台にあります。知識・技能、思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度。この三つの観点が教科ごとに評価され、それが集まって評定になります。
定期考査で 80 点を取っていても、提出物が未提出だったり、授業中の取り組みが記録されていなかったりすると、評定が 4 で止まることがあります。逆に、考査の点数が伸びきらなくても、提出物を期限内に出し、授業で手を動かしている子は評定が落ちにくい。この差は、学期をまたぐと積み上がります。
三つの観点のうち、知識・技能は考査の前半、思考・判断・表現は記述や応用の問題、主体的に学習に取り組む態度は提出物や授業の様子に対応することが多い。つまり、考査の点数が同じでも、どの観点で取れているかによって、次の学期に伸ばすべき場所は変わります。通知表の観点別評価の欄が A・B・C の三段階で並んでいたら、それは「どの観点が足りないか」の地図です。評定の数字だけを見て終わりにせず、その一つ左の列まで読む習慣をつけてください。
提出物は期限で見られる
提出物は、出したかどうかだけでなく、期限を守ったかで見られます。期限の前日にまとめてやるのではなく、計画的に進める。当たり前に聞こえますが、部活動や習い事と両立していると、ここが崩れます。
よくあるのは、期末考査の前に提出物が 3 教科ぶん重なる場面です。どれも「考査までに」と言われていて、順番を決めずにいると、最後の 2 日で全部やることになる。質が落ち、期限も危うくなる。学期の初めに、どの教科の提出物がいつ締め切りかを一覧にしてしまうと、この詰まりは減ります。
一覧は紙一枚で足ります。教科名を縦に、締め切りを横に書いて、出したら線を引く。それだけです。大事なのは、締め切りが「考査の前日」に集中している教科を見つけることです。三つ重なっているなら、一つを前の週に前倒しする。前倒しできるのは、締め切りが早い教科ではなく、自分が一番早く終わりそうな教科です。得意な教科から片づけると、残りの見通しが立ちます。
実技 4 教科を軽く見ない
換算内申で 2 倍になるのは音楽・美術・保健体育・技術家庭の 4 教科です。ここが 3 と 4 で違うと、1 教科あたり 2 点、4 教科で 8 点の差になります。調査書点に直すと 8÷65×300 でおよそ 37 点。これは大きい。
実技教科は、実技の技能だけではなく、作品やレポート、授業への取り組みで評価されます。体育が得意でなくても、準備や片付けを進んでやる、美術の作品を期限内に仕上げる。こうした動きが観点別評価に入ります。「副教科だから」と後回しにすると、換算内申で損をします。
実技 4 教科が 3 のままか 4 に届くかで、調査書点は 37 点ほど動く。これは 5 教科の評定を 1 ずつ上げて回るより効率がよいことがあります。5 教科を全部 1 段階上げるのは大変ですが、実技 4 教科のうち二つを 1 段階上げるだけで換算内申は 4 点、調査書点では 18 点ほどになります。どこから手をつけるか迷ったら、実技側の「あと一歩」を先に拾う。この順番は覚えておいて損はありません。
1 年生・2 年生のうちにやっておくこと
1 年生のうちは、評定そのものより、観点別評価の読み方を覚える期間と考えるとよいと思います。通知表が返ってきたら、評定の数字の横にある観点の欄を見て、A がどこに付いているかを確認する。A が一つもない教科は、次の学期にどの観点を狙うかを決める。この作業を学期ごとに繰り返すと、2 年生になったときに自分の弱点の傾向が言葉で説明できるようになります。
2 年生の後期は、3 年生の前期につながる時期です。ここで「3」だった教科を 3 年生で「4」にするには、観点別評価のどこが足りていないかを把握して、その観点を動かす必要があります。2 年生のうちに、苦手教科の提出物の出し方と、授業中の発言やノートの取り方を一度見直しておくと、3 年生で慌てずに済みます。
3 年生の前期は特に動く
3 年生になると、評定は進路に関わる形で意識されます。ただし、都立入試で使う評定がどの学期のものかは、年度や学校の扱いによって違います。ここは断定できません。学校の説明会や都教委の資料で確認してください。
言えるのは、1 年生のころから積み上げたものが 3 年生で急に変わるわけではないということです。2 年生の後期で「3」だった教科を 3 年生の前期で「4」にするには、観点別評価のどこが足りていないかを把握して、その観点を動かす必要があります。通知表の所見欄は、その手がかりになります。
3 年生の前期は、部活動の最後の大会と重なることが多く、提出物がおろそかになりやすい時期でもあります。ここで落とした評定は、取り返す学期が残っていない可能性があります。大会の前後で提出物の締め切りが重なるなら、前もって片づけておく。時間の余裕を作るのは、気合いではなく段取りです。
3 年生の冬から入試本番まで
3 年生の冬は、内申を動かすというより、確定した内申でどう戦うかを決める時期になります。ここで効いてくるのが、志望校の比率と、10:0 の側があるかどうかです。7:3 の学校なら調査書 300 点の側でどれだけ持っているか、10:0 の側がある学校なら学力検査だけで並べたときにどうなるか。二つの見方を並べて、出願先を決めていきます。
都立入試の日程は、令和9年度であれば推薦の出願が 1/8〜1/18、検査が 1/26(火)27(水)、発表が 2/2(火)。第一次募集の出願が 1/29〜2/4、学力検査が 2/21(日)、発表が 3/1(月)。インフルエンザ等の追検査は 3/9、発表が 3/12。出願はインターネット経由です(都教委の公表資料より)。
推薦の検査が 1 月下旬、第一次の学力検査が 2 月下旬。推薦で決まらなかった場合、第一次までの期間は 3 週間ほどしかありません。この短い期間で新しいことを詰め込むのは現実的ではないので、冬までに学力検査の対策を一通り終えておき、1 月は推薦の準備と第一次の確認に充てる。そんな組み方が現実的です。
武蔵境から通う家庭へ
武蔵野市立第四中学校は吉祥寺北町にあります。武蔵境から通う家庭にとって、毎日の通学と塾の時間をどう組むかは、内申を考えるうえでも避けて通れません。提出物を期限内に出す、授業で手を動かす。どれも時間の余裕があって初めて安定します。
当塾では、入塾の前にカウンセリングの時間を取っています。通知表を一緒に開いて、換算内申がいくつになるか、どの教科のどの観点が足りていないかを並べるところから始めます。数字を眺めるだけでは見えない詰まりを、一緒に整理する時間です。
最後に、よくある誤解を一つ訂正しておきます。「内申は 3 年生になってから上げればいい」という言い方を聞きますが、3 年生の前期で評定を動かすには、2 年生までの観点別評価の積み上げが土台になります。逆に「1 年生の評定は入試に使わないから関係ない」というのも、観点の読み方を覚える機会を捨てることになります。どの学期も、次の学期の準備として意味があります。
この日程を見ると、3 年生の冬はあっという間です。だからこそ、内申の話は 3 年生になってからではなく、1 年生のうちに一度、換算内申の形で眺めておく。それが、武蔵境から第四中学校に通う家庭にとっての最初の一歩になります。